リモート参加取締役会 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

取締役会のリモート開催は、会社法上は問題ありません。ただ、取締役会に取締役がZoom等でリモート参加する場合には、議事録の記載を会社法の要請に添うようにする必要があります。

この点を分かりやすく解説します。

取締役会に取締役のリモート参加はOK

会社法上、取締役会は3か月に1回以上は開催する必要があり、取締役の過半数が出席することが要件となっています。しかし、出席する取締役は現実の場所へ出席する義務を定めた条文はありません。

また、取締役会を開催した場合には取締役会議事録を作成する必要がありますが、取締役会議事録への記載内容を定める会社法施行規則においても、「当該場所に存しない取締役」という定めがあります。

したがって、会社法は取締役会のリモート開催をあらかじめ想定していたものと考えられています。

会社法施行規則第101条(取締役会の議事録)

取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)

法務省の見解

法務省も、相手と相互に意思疎通が可能である等の条件が整えばZoom等のテレビ会議システムを利用したWeb出席は可能しています(法務省民事局参事官室「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」(平成8年4月19日))。

具体的には、以下の要件を満たす必要があるとしています。

⓵<即時性>各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わるものとなっていること
②<双方性>各取締役が自由に意見交換できる結果、適時的確な意見表明が互いにできること

取締役がリモート参加の時の議事録の書き方

取締役会では議事録を作成し、出席者全員の署名または記名押印を行うことが定められています。

会社法369条3項

取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

取締役会の議事録の記載事項は次のとおりです。

・日時
・開催場所
・出席者名
・議長名
・議事の経過の要領およびその結果

【リモート開催の取締役会の開催場所】

<一部の取締役のみリモート参加の場合> その他の取締役が会した場所が「開催場所」です。

<全ての取締役が別々の場所から参加した場合> 議長の所在場所を開催場所とします。

リモート開催には即時性と双方向性の二つを満たすことが必要ですので、例えば、テレビ会議システムで出席した取締役の氏名の後ろに「テレビ会議システムによって参加」と付記し、議事録に「出席者が一堂に会するのと同等に、テレビ会議システムは、開会から閉会に至るまで、適時的確な意見表明が互いにできる状態にあった」旨の記載を入れると万全でしょう。

まとめ

取締役会のリモート開催は、会社法上も実務上も問題ありません。ただし、リモート開催を行う場合は、「即時性」「双方性」が保たつため、取締役全員が平等に意見を述べられるように議論の進行に注意が必要です。

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