取締役会 3か月に1度とは 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

取締役会は、株式会社の業務執行の意思決定を行う機関です。 公開会社には取締役会の設置義務がありますが、非公開会社であれば、取締役会の設置は任意です。

では、非公開会社が取締役会を設置するメリットはどこにあるのでしょうか?

それは、株主総会の決議を待たずに迅速に意思決定ができ、対外的な信用を得やすいといったメリットがあるからです。

取締役会の役割と開催頻度

取締役会は、取締役会設置会社の業務執行の決定、取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定および解職を行うという役割があります(会社法362条第2項)。

取締役会の役割
●会社の経営方針や重要事項を決める
●取締役の職務執行を監督する

会社法第362条

(取締役会の権限等)
第362条 取締役会は、すべての取締役で組織する。

2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。

一 取締役会設置会社の業務執行の決定

二 取締役の職務の執行の監督

三 代表取締役の選定及び解職

3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。

取締役会を設置するメリット

取締役会を設置すると、業務執行の決定は取締役会ですることになります。このため、株主総会を開催する必要がなくなりますので、スピーディな会社経営をすることができるようになります。また、取締役会は社長や他の取締役の監督機能がありますので、取締役会があると対外的に信用度が高まり、融資や取引において有利になり得ます。

また、取締役の競業取引と利益相反取引を行う場合の承認が株主総会ではなく、取締役会で済むようになります。

取締役会のメリット
●特定の取締役の独断専行を防ぐ
●迅速な意思決定が可能になる
●会社の信用度が上がる

取締役会の開催頻度

上記のように、各取締役の任務として取締役の職務執行を監督する義務があります。これを実効性あるものとするために、代表取締役等は3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならないとされています(会社法363条2項)。

つまり。原則として3か月に1回は取締役会を開催しなければならないこととなります。

会社法第363条

1 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。

一 代表取締役

二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの

2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

取締役会は3か月に一度開催しなければならないのですが、次のようなケースはどうでしょうか?

例 1回目取締役会 4月1日 2回目取締役会7月5日 

厳密には、4月1日と7月5日は3か月以上離れています。そのため、このような間隔で取締役会をスケジュールするのはやめましょう。

取締役会の開催頻度
●原則として3か月に1回開催しなければならない
●最低でも年に4回は開催する必要がある

取締役会の開催頻度の理由
●取締役の職務執行を監督するため
●緊急のトラブルに対応するため

では、「3か月に1度の取締役会開催を怠ったとき」は罰則があるのか?

これは会社法363条違反ですが、このこと自体に過料などの罰則はありません。しかし、期限内に取締役会が招集されなかったことにより、会社に損害が生じた場合で、取締役に任務懈怠責任が認められる場合、各取締役は会社に対して損害賠償責任を負うことがあります(423条1項)。

この任務懈怠責任の追及は会社が原告となって請求することができますが、それ以外にも一定の株主が原告となって責任追及の訴えを行う、いわゆる株主代表訴訟によっても請求が可能となっています(法第847条第1項)。

取締役会の書面決議

新会社法(370条)では、取締役会の書面決議が認められました。

書面決議は、取締役全員の同意があれば、取締役会を開催せずに決議をすることができるものです。書面決議により、取締役の業務執行方針の決定のスピードアップや取締役の移動コストの削減が図られます。

ただし、すべての取締役会を書面決議でできるわけではなく、代表取締役等が3か月に1回以上行わなければならない業務執行状況の報告については、実際に取締役会を開催する必要がある点は注意が必要です。

(書面決議が有効に成立するためには、定款で書面決議が可能な旨の定めを置き、監査役(業務監査権限を有する監査役がいる場合)が異議を述べないことが必要です。)

会社法第370条

(取締役会の決議の省略)
第370条 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

 

まとめ

取締役会は、会社の経営方針や重要事項を決め、取締役の職務執行を監督する重要な機関です。取締役会を設置することで、特定の取締役の独断専行を防ぎ、迅速な意思決定が可能になり、会社の信用度が向上します。

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