
(行政書士中村光男事務所 2025年4月のニュースより)
国土交通省のドローンの申請システム(DIPS2.0)が大幅に改修され、2025年3月24日から、ドローンの飛行に関する許可・承認手続きが迅速化されました。これにより、申請者自身が資料を確認して申請することが求められ、申請内容の正確性が重要となります。また、ドローンを活用する事業者は、航空法の要件に適合しているかを確認する必要があります。
ドローン飛行の許可・承認の簡素化の背景
ドローンを短期間で飛ばす方法は、飛行の都度申請を行うのではなく、最大1年間の期限で空域や日時を特定せずに取得する包括申請を行う方法と、無人航空機操縦士が機体認証を受けた機体を飛行させることで許可・承認が不要となる方法の二種類があります。
しかし、包括申請は趣味を目的とする場合や催し物上空の飛行の場合は認められていません。
また、二等操縦士ライセンス交付数は17000件以上ありますが、第二種機体認証交付数は10件程度しかなく、無人航空機操縦士が機体認証を受けた機体を飛行させる事例は極めて少数です。
そこで、ドローンの活用拡大に対応するため、航空局は無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領を改正し、2025年3月24日に施行しました。この改正によって、従来航空局に資料が提出されていた一部項目について、申請者が適否を確認し、その結果をドローン情報基盤システム(DIPS)に入力すること等をもって資料提出に代えることとなります。施行後も飛行の10開庁日以前に申請することは求められますが、1開庁日での許可・承認が目指されています。
ドローン飛行の基礎知識
航空法の規制対象となる<空域>や<方法>でドローンを飛行させる場合を「特定飛行」と呼び、特定飛行を行う場合は、原則として飛行許可・承認が必要です。
測量、点検、空撮や農薬散布等でドローンの活用が拡大しています。
ドローンを飛行させるには、「空港周辺」「高度150m以上」「人口密集地帯上空」「緊急用務空域」の4つの空域では国土交通大臣の許可、「夜間」「操縦者の目視外」「第三者又は第三者の物件から30m以内」「催し場所の上」「危険物の輸送」「物件の投下」の6種類の飛行方法をとる場合は国土交通大臣の承認が必要となります。
<特定飛行となる空域>
無人航空機の飛行形態については、リスクに応じた3つのカテゴリーに分類されます。
リスクの高いものからカテゴリーIII、II、Iとなり、該当するカテゴリーに応じて手続きの要否が異なります。
※立入管理措置とは、無人航空機の飛行経路下において、第三者(無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者)の立入りを制限することを指します。
おまけ ドローンと保険
ドローンを運行する場合に、保険加入は義務ではありません。しかし、ドローンの操縦ミスなどで事故を起こした場合の責任は重大ですので、保険加入は必須と言えます。
個人が趣味でドローンを飛ばすなら、個人賠償責任保険、ビジネスとして行うなら、業務中の運行責任をカバーする施設賠償責任保険などです。
国も保険への加入を推奨しています。
国土交通省が定めた「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」にで、以下のようなに記述されています。
安全に留意して無人航空機を飛行させても、不測の事態等により人の身体や財産に損害を与えてしまう可能性があります。
このような事態に備え、保険に加入しておくことを推奨します。
なお、万一事故が発生した場合には、責任関係が複雑化し被害者が賠償義務者の過失を立証することが困難であることも想定されるため、加入される保険は、被害者に対し十分な補償が提供でき、かつ速やかに被害者が救済される保険であることが望ましいと考えられます。
出典:国土交通省「無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン」
同じく国土交通省が公開している「無人航空機の飛行の安全に関する教則」でも、以下のように保険加入を推奨しています。
2.3.3 保険
無人航空機の保険は、車の自動車損害賠償責任保険(自賠責)のような強制保険はなく、すべて任意保険であるが、万一の場合の金銭的負担が大きいので、保険に加入しておくとよい。無人航空機の保険には、機体に対する保険、賠償責任保険などいろいろな種類や組合せがあるので自機の使用実態に即した保険に加入することが推奨される。
出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則」
参考URL
・国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」
・国土交通省(2025年2月25日)「無人飛行機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーII飛行)」
・SOMPOインスティテュート・プラス「2025年3月24日からドローン飛行の許可が迅速化へ」