ドローンのレベル4飛行実施で変わるルール / わかりやすく杉並区の行政書士が解説

ドローン(無人航空機)は、空の産業革命と言われ、様々な活用方法が期待されています。最近もニュースなりましたが、2022年度末までには、レベル4飛行(有人地帯での補助者なしでの目視外飛行)もスタートする予定です。

このレベル4飛行実施に先立ち、12月からドローンの安全規制が強化された一方で、年間6万件にも及ぶドローンの飛行申請を一定条件下で不要にする緩和策が打ち出されました。

何がどう変わるのかを、わかりやすく杉並区の行政書士が解説します。

おさらい ドローンを飛ばす場合の基本的ルール

1. 航空法による規制

航空法では、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域及び方法での飛行(特定飛行)を行う場合は、基本的に飛行許可・承認手続きが必要になります。
なお、許可・承認を取得しないでドローンを飛行させた場合は、懲役又は罰金に科せられます。

特定飛行に当たるのは以下の【1】~【7】とおりです。

特定飛行に該当する飛行
●飛行する空域

[1]空港周辺
[2]緊急用務空域
[3]150m以上の上空
[4]人口集中地区(DID/Densely Inhabited District)の略

 

(注)※人口集中地区および空港等の周辺区域の確認は こちら(国土地理院 地理院地図)でわかります。

●飛行の方法

[5] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[6] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[8] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[9] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[10] 無人航空機から物を投下しないこと

 

このうち、「[7] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること」の条件に抵触しないで飛ばすことは難しいので、飛行ごとに事前承認を取るケースがほとんどとなります。

2.その他の法律や各自治体の規制

航空法以外にも、他の法律や自治体の条例でドローンの飛行には制限があります。

小型無人機等飛行禁止法(警察庁)
ドローン等に求められる無線設備(総務省)
ドローンによる映像撮影等のインターネット上での取り扱い(総務省)
無人航空機の飛行を制限する条例等

ドローンのレベル4飛行実施に合わせて変わること

ドローンレベル4飛行が解禁されるのに合わせて、新たに「機体の認証制度」「操縦者の技能証明制度」が創設され、一定の条件下で従来は個別の飛行ごとに必要であった国土交通大臣への許可・承認が不要となる簡素化が図られます。

レベル4の飛行とは

現在は認められていない「有人地帯での、補助者なしでの目視外飛行」のことです。

例えば、
ドローンによるスタジアムでのスポーツ中継、市街地や山間部・離島への医薬品や食料品の配送、災害時の救助活動や救援物資輸送・被害状況確認などが期待されます。

レベル4飛行実現に向けた制度整備と許可・承認の合理化

先にのべたように、現行制度では、特定飛行(①一定の空域(空港周辺、高度150m以上、人口密集地帯上空)、②一定の飛行方法(夜間飛行、目視外飛行等))でドローンを飛ばす場合は、飛行ごとのに国土交通大臣の許可・承諾が必要でした。この申請件数は年間6万件にも及んでいました。

レベル4飛行実現に向け2022年12月5日から「機体の認証制度」「技能証明制度」「運航ルールの制度化」が施行されましたが、これらの新制度によって「機体の認証制度」「技能証明制度」によりドローン飛行の安全性が高まりますので、今後、「特定飛行」についても原則として飛行ごとの許可・承認が不要となります。

(注)細かい話ですが、上記の図の中段の「第三者上空」以外で上記①②に該当する場合とは、「特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じたうえで行う飛行。」することです。

このような飛行をはカテゴリー2の飛行と呼ばれますが、一定の条件を満たせば、カテゴリー2B飛行という区分けになり、許可・承認が不要となります。

【カテゴリー2の飛行】

カテゴリー2A飛行 特定飛行のうち空港等周辺、150m以上の上空、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下に係る飛行並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行 立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、個別に許可・承認を受ける必要があります。
カテゴリー2B飛行 特定飛行のうち上記の場合以外(DID上空、夜間、目視外、人又は物件から30mの距離を取らない飛行であって、飛行させる無人航空機の最大離陸重量が25kg未満の場合) 立入管理措置を講じた上で、無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、飛行マニュアルの作成等無人航空機の飛行の安全を確保するために必要な措置を講じることにより、許可・承認を不要とすることができます

これら以外の場合の飛行は、個別に許可・承認を受ける必要があります(カテゴリー2A飛行となる)。

※参考 ドローン飛行のカテゴリー(リスク分類のこと)について(出典 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html)

まとめ

現行制度では、ドローンの特定飛行(①一定の空域(空港周辺、高度150m以上、人口密集地帯上空)、②一定の飛行方法(夜間飛行、目視外飛行等))でドローンを飛ばす場合は、飛行ごとのに国土交通大臣の許可・承諾が必要でしたが、レベル4飛行の解禁に合わせて、「機体の認証制度」「技能証明制度」「運航ルールの制度化」の3点セットが施行されることから一定条件下で、個別の飛行の許可・承認が不要となります。

今後、ドローンは益々日常生活で活用される機会が多くなり、ドローンを使ったビジネスも拡大するものと思われます。合理化が図られているとは言え、許可・承認が必要な場合を見落とすと罰則の対象となります。わかりにくい点や不安な点は、国土交通省の無人航空機ヘルプデスク(電話 :050-5445-4451)や行政書士にご相談ください。 

参考 国土交通省 
無人飛行機登録ポータルサイト 
https://www.mlit.go.jp/koku/drone/
無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール等
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000041.html#houhou

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