
合同会社の定款の作成ができたのちの登記の手続きについて、やるべきことを順を追って記載します。

合同会社の定款ができた。そのあとには何をすればいいのかな?

定款を作成してから、会社の設立登記をするまでの間に、合同会社の社員は、資本金の払い込みをする必要があるよ
出資金の払い込み
法律では「社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(会社法第578条)。」となっています。
出資金払込
定款の作成後、設立登記を行うまでに、合同会社社員は、出資する金銭を会社に払込します。振込先は、代表社員の個人口座です。
振込を行う場合は、後の登記申請で出資の事実が確認できるように、振込元の社員の名前が記録に残る形で手続きします。
複数の社員が振り込みを行う場合は、個別に振込します。
現物出資の場合
資本金に金銭以外の財産による現物出資を行う場合は、金銭の場合と同様に、定款作成後、会社設立登記の申請までに、会社に給付します。
払込があったことを証明する書面の作成
合同会社設立登記の際に、「出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面」を添付する必要があります。

定款で決めた資本金は20万円。代表社員は僕1名だ。僕の通帳の残高は50万円あるから、特に何もしなくていいのかな。

通帳に残高があるだけでは、だめなんです。登記の際に、法務局は、代表社員名義の個人口座に20万円が入金された事実が知りたいのです。
「出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面」は「①代表社員名による証明書+②証拠(資本金入金記録のある、通帳コピー等、または領収書)」
⇒この証明書に、取引明細表や預金通帳の写し(口座名義人が判明する部分を含む)、代表社員の作成に係る出資金領収書等を合わせてとじます。また、添付した取引明細表や預金通帳の写しの振込みに関する部分にマーカー又は下線を付す等します。
※振込の事実を示す証拠として、通帳のコピーや、ネットバンキングであれば、画面のスクリーンショットなどで、次のような事実を証明します。
①銀行名
②口座名義人
③入金金額
④入金日
<ポイント>
・サイズはA4です。
・代表社員の口座に資本金を上回る残高があるだけでは、資本金払い込みの証拠になりません。
・資本金相当分をATMでおろして、すぐATMで入金するなどでもいいとされます。
ネットバンクの場合、①、②、③、④が同一の画面でなく、スクショが複数枚になっても大丈夫です。
証明書には、押印義務はありません。
合同会社の設立登記に必要となる書類

ATMで、自分の口座から20万円を下ろして、すぐ入金しました。その取引コピーを付けて、払込証明書を作りました。さてその次は?

登記に必要な書類は、定款で、具体的に本店所在地・資本金の額・代表社員を決めていて、かつ社員が1名なら、じつは、もうその他の書類はいらないよ。
設立登記に必要な書類一覧(申請書以外)
(1) 定款(公証人の認証は要しない。電子定款を含む。)★★★
(2) 業務を執行する社員の一致があったことを証する書面
⇒定款で具体的な本店所在地や、資本金の額、代表社員等を定めている場合は、不要です。
(3) 定款で代表社員を定めていない場合は、代表社員の選任及び就任承諾に関する書面
⇒社員が1人の場合、または社員全員が代表社員となる場合は、不要です。
(4) 業務執行社員が法人の場合は、登記事項証明書
(5) 代表社員が法人の場合は、以下の書類
イ)登記事項証明書
ロ)職務執行者の選任に関する書面
ハ)職務執行者の就任承諾をしたことを証する書面
(6) 出資に係る払込みがあったことを証する書面(※1)★★★
①払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面(代表社員が作成)に②払込取扱機関における口座の預金通帳の写し又は取引明細表その他の払込取扱機関が作成した書面を合わせたものを「金銭の払込みがあったことを証する書面」として取り扱うことができます。
払込取扱機関は、内国銀行の日本国内本支店だけでなく、外国銀行の日本国内支店(内閣総理大臣の認可を受けて設置された銀行)も含まれます。
また、内国銀行の海外支店も払込取扱機関に含まれます。
なお、②(通帳コピー等)については、株式会社のように銀行等の払込取扱機関で金銭の払込みをしなければならないとの制約はありませんので、「代表社員の作成に係る出資金領収書」等を添付することでも差し支えないとされています。
(5) 資本金の額が会社法及び会社計算規則に従って計上されたことを証する書面
⇒設立に際して出資される財産が金銭のみである場合は、添付を要しません。
参考 法務省 合同会社の設立手続きについて