遺族年金 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

はっちはっち

「遺族年金」ってどういう制度?


カタツムリ君カタツムリ君

生活を支えていた人が亡くなることを事故と考えて、そのような事故が起こった時に、収入の少ない遺族の生活費を支給する公的な保険制度っていうところかな。


はっちはっち

他の年金と何が違うの?


カタツムリ君カタツムリ君

年をとって働けなくなることを事故ととらえるのが「老齢年金」で、障害によって働けなくなることを事故ととらえるのが、「障害年金」だよ。老齢は予測可能なので、保険料と保険金(年金)の間の関係ははっきりしているけど、障害や生計維持者の死亡は、若くても発生する可能性はあるので、保険料はほとんど払っていなくても一定の年金は出るということになるね

遺族年金制度

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。

妻以外の遺族には、年齢要件があります。配偶者は事実婚を含みます。子については、実子か養子かを問いません。

遺族基礎年金

はっちはっち

例えば55歳で、国民年金に加入中の夫が亡くなったとき、奥さんは何か請求できるのかな?


カタツムリ君カタツムリ君

亡くなられた方に生活を支えられていた配偶者と子供がいる場合は配偶者に、子供だけのときは子供に遺族基礎年金が支払われます。子供は18歳未満、または20歳未満で一定の障害者であることなどの条件があります。


はっちはっち

そのご夫婦に子供がいないときは、遺族基礎年金は出ないの?ご主人は20歳から55歳まで国民年金保険料を払っていたのにおかしくない?


カタツムリ君カタツムリ君

気持ちはわかるけど、国民年金の老齢基礎年金は個人別に支給されるので、死亡した本人の生計費は不要になるので相続はされないし、配偶者は自身の老齢基礎年金で生計を維持できるという考え方があるんだよ。

遺族基礎年金は、国民年金被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした方などが亡くなられたときに、その人によって生計維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給されます(「子」とは、18歳到達年度の3月末日までの間にある婚姻していない子、または障害のある場合は20歳未満の婚姻していない子を言います。)。妻と子に受給権が発生している場合は、妻が子の加算額を含めた遺族基礎年金を受給します。

受給資格要件
遺族基礎年金を受給するためには、つぎの3つの要件すべてを満たしていることが必要です。
なお、配偶者が請求する場合は、子を有している必要があります。

①被保険者要件(死亡した人の要件)
亡くなられた方が、①被保険者、②被保険者であった60歳以上65歳未満の方、③老齢基礎年金の受給権者(加入期間25年以上)または④老齢基礎年金の受給資格要件を満たしている方(加入期間25年以上)であること

②保険料納付要件
死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月以前の被保険者期間のうち、納付済期間と免除された期間との合計が全期間の2/3以上あること
(令和8年3月31日までに亡くなられた場合は、特例として死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料未納期間がなければ納付要件を満たします。)

③遺族の要件
亡くなられた夫、妻または親に生計を維持されていたこと
生計維持の認定については、生計同一の要件(死亡当時に亡くなられた方と生計を同じくしていたこと)と収入要件(前年の収入が850万円未満であることなど)の両方を満たす場合に生計維持関係が認められます。配偶者が請求する場合は、子を有している必要があります。

 

★遺族基礎年金の年金額(令和6年度)
816,000円(昭和31年4月2日以後生まれ)
813,700円(昭和31年4月1日以前生まれ)
子の加算額2人目までは1人につき234,800円
この加算額3人目以降は1人につき78,300円

★支給期間
遺族基礎年金の受給権は夫、妻または親の死亡日に発生し、支給期間は受給権発生日(死亡日)の属する月の翌月から支給が開始され、受給権が消滅(失権)した月まで支給されます。
また、子の数が増減したときはその翌月から年金額が改定(加算額の増減)されます。

★請求方法
遺族基礎年金の決定請求の手続きを市・区役所または町村役場の国民年金の窓口で行います。

 

遺族厚生年金

はっちはっち

老齢厚生年金を受けている夫が亡くなったときに、妻は年金を受けられますか。


カタツムリ君カタツムリ君

受給資格期間が25年以上ある方が亡くなられたときは、亡くなられた方に生活を支えられていた遺族は、遺族厚生年金を受けることができるよ。
遺族は、配偶者、子供、父母、孫、祖父母の順番です。妻には年齢の条件はないけど、他の方には年齢条件があるよ。


①被保険者要件(死亡した人の要件)
亡くなられた方が、①被保険者、②被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した方、③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方、④老齢厚生年金の受給権者(加入期間25年以上)、または⑤老齢厚生年金の受給資格要件を満たしている方(加入期間25年以上)であること

②保険料納付要件
死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月以前の被保険者期間のうち、納付済期間と免除された期間との合計が全期間の2/3以上あること
(令和8年3月31日までに亡くなられた場合は、特例として死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料未納期間がなければ納付要件を満たします。)

③遺族の要件
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
1.子のある配偶者
2.子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
3.子のない配偶者
4.父母
5.孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
6.祖父母

遺族厚生年金の受給対象者 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

★遺族厚生年金の年金額
・死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。
・なお、上記遺族の要件の1、2および3に基づく遺族厚生年金の場合、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは、「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。

国民年金独自の制度(寡婦年金・死亡一時金)

はっちはっち

国民年金に加入していても、老齢年金をもらう前に亡くなった場合は、限られた場合しか遺族年金がもらえないから、多くの場合は、保険料は掛け捨てになるね。


カタツムリ君カタツムリ君

国民年金保険料が掛け捨てにならないように、保険料が多少なりとも戻ってくる仕組みがあるよ。それが「寡婦年金」か「死亡一時金」だよ。

寡婦年金

寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に対して、その妻が60歳から65歳になるまでの間支給されます。

死亡一時金

死亡一時金は、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた一定の遺族に支給されます。

  • 死亡一時金の額は、保険料を納めた月数に応じて120,000円~320,000円です。
  • 付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8,500円が加算されます。

★寡婦年金・死亡一時金は、掛け捨て防止の側面もあるので、死亡した人が、老齢基礎年金や障害基礎年金のいずれかを受け取っていたときは支給されません。また、寡婦年金と死亡一時金はどちらかを選択する必要があります。

まとめ

身近な方が亡くなった場合の、ご遺族の方が未支給年金や遺族年金等を受け取ることができる場合として、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「寡婦年金」「死亡一時金」があります。これらの遺族給付にかかる制度や各種手続きに関する相談や、請求手続きは、住所地の市区町村役場、またはお近くの年金事務所または街角の年金相談センターの窓口にお問い合わせください。

参考文献 論文 遺族年金制度の形成と展開(坂口正之 2002)論文 遺族年金制度の形成と展開

参考HP  日本年金機構「身近な方が亡くなったとき」

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