デジタル波とアナログ波 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

アマチュア無線を楽しむには「無線従事者」の資格が必要です。アマチュア無線従事者の資格には、アマチュア無線技士は国家資格です。

アマチュア無線を行うための資格

次の4つのクラスがあります。第4級が取りやすい資格で、第1級が難関資格です。

資格の種類 操作できる範囲 資格の取得方法
第4級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信を除く)

1 空中線電力10W以下の無線設備で21メガヘルツから30メガヘルツまでまたは8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するもの

2 空中線電力20W以下の無線設備で30メガヘルツを超える周波数の電波を使用するもの

(財)日本無線協会が開催する第4級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。

JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会) または QCQ企画 その他が主催する講習会を受講して、修了試験に合格する。

第3級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力50W以下の無線設備で18メガヘルツ以上または8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するものの操作 (財)日本無線協会が開催する第3級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。

●現在、第4級アマチュア無線技士の資格をお持ちの方は、JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会) または QCQ企画 その他が主催する養成課程講習会第3級短縮コースを受講して修了試験に合格する。

JARDが開催するeラーニングを受講し修了試験に合格する。

第2級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作 (財)日本無線協会が年に3回(4月、8月、12月)開催している第2級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。

JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会)が開催するeラーニングを受講し修了試験に合格する。

第1級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備の操作 (財)日本無線協会が年に3回(4月、8月、12月)開催している第1級アマチュア無線技士国家試験を受験し合格する。

級別の資格者数(総務省資料より。令和5年度) 単位 人

アマチュア無線技士 第四級アマチュア無線技士 3,170,577
第三級アマチュア無線技士 276,214
第二級アマチュア無線技士 86,710
第一級アマチュア無線技士 35,328
小            計 3,446,791

資料出典:https://www.jarl.org/Japanese/6_Hajimeyo/shikaku.htm

アマチュア局が免許を受けることができる周波数帯と空中線電力

周波数帯
略記
周波数範囲
最大空中線電力(W)
第4級
第3級
第2級
第1級

135kHz帯

136K

135.7~137.8kHz 10 50 200 200
475kHz帯 475K 472~479kHz 10 200

1.9MHz帯

1.9M

1800~1875kHz
10
1000
1907.5~1912.5kHz

3.5MHz帯

3.5M

3500~3580kHz
3599~3612kHz
3662~3687kHz
10

3.8MHz帯

3.8M

3702~3716kHz
3745~3770kHz
3791~3805kHz

7MHz帯

7M

7000~7200kHz

10MHz帯

10M

10100~10150kHz

14MHz帯

14M

14000~14350kHz

18MHz帯

18M

18068~18168kHz
50

21MHz帯

21M

21000~21450kHz
10

24MHz帯

24M

24890~24990kHz

28MHz帯

28M

28~29.7MHz

50MHz帯

50M

50~54MHz
20
500 *1

144MHz帯

144M

144~146MHz
50 *2
50 *3

430MHz帯

430M

430~440MHz

1200MHz帯

1200M

1260~1300MHz
10 *4
10 *5
10 *2
10 *3

2400MHz帯

2400M

2400~2450MHz
2 *4
2 *5
2 *6
2 *6

5600MHz帯

5600M

5650~5850MHz
2
2
2
2

10.1GHz帯

10.1G

10~10.25GHz

10.4GHz帯

10.4G

10.45~10.5GHz

24GHz帯

24G

24~24.05GHz

47GHz帯

47G

47~47.2GHz
0.2
0.2
0.2
0.2

77GHz帯

77G

77.5~78GHz

134GHz帯

135G

134~136GHz

248GHz帯

248G

248~250GHz

4630kHz

4630K

4630kHz  <非常通信用> 50 200 1000

資料出典:https://www.jarl.org/Japanese/6_Hajimeyo/shikaku.htm

周波数帯の特徴

電波は周波数が低いほど、遠くと通信できます。アマチュア無線で使用する電波帯は、周波数が低い方からHF帯、VHF帯,UHF帯(※)に分かれます。

※3つのバンド(電波帯)の意味
HF: High Frequency(高周波) 周波数範囲: 3MHz ~ 30MHz
VHF: Very High Frequency(超高周波) 周波数範囲: 30MHz ~ 300MHz
UHF: Ultra High Frequency(極超高周波)周波数範囲: 300MHz ~ 3GHz

HF帯の特徴

1.9MHzバンド

  • 1.8MHz帯と1.9MHz帯に分かれ、電信モードは第3級以上の資格が必要。
  • 昼間は地表波、夜間は電離層反射での伝搬が特徴。
  • 夜間の伝播特性は中波放送に似ている。

3.5/3.8MHzバンド

  • 夜間に強い飛びがあり、国内・海外との安定した交信が可能。
  • アンテナ設置が難しいが、広い場所で移動運用が推奨される。

7MHzバンド

  • 国内交信の主力バンド。混信の中での交信技術が求められる。
  • バンド幅が狭く、運用局数が多いため混雑しやすい。

10MHzバンド

  • 第2級以上の資格で使用可能。電信と狭帯域データ通信が主流。
  • 遠距離交信が安定している。

14MHzバンド

  • 海外交信のメインバンド。珍しい局やDXペディション局が多く運用される。
  • 海外交信を楽しむには必須のバンドで、第2級以上の資格が必要。

18MHzバンド

  • 14MHzに似た特性で、海外交信が安定して可能。
  • 運用者が少なく、穴場のバンド。第3級以上の資格が必要。

21MHzバンド

  • 国内・海外交信が楽しめるバンド。現在のコンディションは不安定だが、今後の改善が期待される。

24MHzバンド

  • 21MHzと28MHzの中間的な性質を持ち、電離層反射や突発的な電離層(Eスポ)による交信が可能。

28MHzバンド

  • FMモードの運用が許可されている唯一のHF帯バンド。モービル運用が盛んで、太陽活動に伴いコンディションが上昇するとDX交信が楽しめる。

VHF帯の特徴

50MHzバンド

  • 普段は見通し距離での伝搬が中心で、移動運用ファンが多い。
  • 太陽活動が活発になると、異常伝搬で遠距離の海外局と交信が可能になり、スリリングな体験ができる。
  • Eスポによる遠距離交信も期待でき、偶然性があり刺激的なバンド。

144MHzバンド

  • ハンディートランシーバーが普及しており、初心者からベテランまで楽しめるバンド。
  • 430MHz帯と組み合わせて衛星通信も楽しむことができる。

UHF帯の特徴

  • 近隣のハム仲間とのラグチュー(おしゃべり)、レピータ交信、デジタルデータ通信などが手軽に楽しめる。
  • 小型のハンディートランシーバーと短いアンテナで交信可能な便利さが特徴。
  • D-STARなどのデジタル音声通信や、144MHz帯と組み合わせた衛星通信も盛んに行われている。

1200MHzバンド

  • 40MHzの広いバンド幅を持ち、直進性が強いため、ビル反射や山岳回折などの現象が頻繁に起こる。
  • 反射や回折による信号強度の変化を体験でき、UHFバンドながらマイクロ波帯の性質も感じられる。
  • 全国にレピータ局(※)があり、デジタルデータ通信や画像通信も活発に行われている。 ※レピータ局は、アマチュア無線において、小さなパワーのトランシーバーでも広範囲に交信できるようにするシステムとして利用されています。レピータ局は、JARLが地元の管理団体の協力のもと設置されている。

デジタルとアナログ

上でご説明した、周波数による違いとは別に、通信方式にはデジタルとアナログがあります。デジタル通信は、昔は無線機にTNCやパソコンをつないでデジタル通信を行っていましたが、現在では無線機単体でデジタル通信が可能となっています。

アマチュア無線機は、この十数年で急速にデジタル化が進んでいます。最近の無線機は、SDR(ソフトウェアで操作できる無線機)がほとんどを占めています。これに伴い、C4FMやD-STAR、FT-8といったデジタル通信の方法が広まっています。

特に、FT-8は、少ない電力で海外と簡単に交信できるため、人気が急上昇しています。現在、FT-8を使うにはパソコンが必要ですが、無線機とパソコンをつなぐ作業も、無線機にあらかじめFT-8用の設定が入っている機種が増えてきたため、かなり簡単になっています。

C4FM(Continuous 4-level Frequency Modulation)は、アマチュア無線のデジタル音声通信方式の一つで、特にYaesu(八重洲無線)が開発・採用しているシステムです。C4FMは、アナログ通信よりもクリアな音声での交信を可能にする技術で、デジタルモードで使用されることが一般的です。

D-STAR(Digital Smart Technologies for Amateur Radio)は、アマチュア無線のために開発されたデジタル通信プロトコルで、日本アマチュア無線連盟(JARL)が主導して開発されました。D-STARは、デジタル音声通信やデータ通信を行うことができる技術で、特にICOM(アイコム)がこの技術を採用しています。

・FT-8は、アマチュア無線で使用されるデジタル通信方式の一つで、特に弱い信号環境下でも通信ができる点が特徴です。FT-8は、ジョセフ・テイラー(Joe Taylor, K1JT)博士とスティーブ・フランクス(Steve Franke, K9AN)によって開発されたもので、非常に効率的な通信が可能です。

デジタル波とアナログ波 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

図は https://note.com/nec_iise より。

1. 原理的な違い

  • アナログ通信:
    • 連続的な信号を使って音声やデータを伝える方式。例えば、音声をそのまま波の形(アナログ波)に変換して伝送します。
    • 音や映像が自然に変化する波の形に基づいているため、信号は無限の段階で変化し、連続的な情報のやりとりを行います。
  • デジタル通信:
    • 離散的な信号、つまり0と1の二進法(ビット)を使って情報を伝えます。音声や映像などのアナログデータを一度デジタル信号に変換し、その後に伝送します。
    • デジタル信号は、0または1の状態を持つため、情報は段階的な形式で処理されます。

2. それぞれのメリットとデメリット

  • アナログ通信のメリット:
    • シンプルな技術で、古くから使用されてきたため、設備が広く普及している。
    • 連続的な信号により、細かいニュアンスを再現するのに適している(特に音声や音楽)。
  • アナログ通信のデメリット:
    • ノイズや干渉に弱いため、信号の品質が劣化しやすい。
    • 通信距離が長くなると、信号が徐々に弱くなり、質が低下する。
  • デジタル通信のメリット:
    • ノイズに強いため、長距離でもクリアな信号を維持できる。
    • 効率的にデータ圧縮や誤り訂正ができるため、通信品質が高い。
    • 音声や映像などを正確に再現するため、より高品質な通信が可能。
  • デジタル通信のデメリット:
    • 技術が複雑で、アナログ通信より高い処理能力が必要。
    • アナログ通信に比べ、デジタル信号を処理するには高度な機器が必要になる場合がある。

3. 互換性のないこと

アナログ通信とデジタル通信は互換性がありません。アナログ通信をデジタル通信でそのまま受信・送信することはできませんし、その逆も不可能です。アナログ信号をデジタル通信で扱うためには、A/D(アナログ→デジタル)変換が必要で、逆にデジタル信号をアナログで扱うためにはD/A(デジタル→アナログ)変換が必要です。技術的にこれらの変換を行う機器は存在しますが、両者の信号は基本的に直接のやり取りはできません。

4. アナログ通信の停波に関する状況

  • 業務用無線:
    • 2024年11月以降、350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の周波数は、令和6年(2024年)12月1日以降は使用できなくなります。
  • アマチュア無線:
    • 一方で、アマチュア無線においては、当面の間アナログ通信も継続して使用可能です。これはアマチュア無線の多様な利用形態や愛好家のニーズに配慮した措置であり、アナログ通信が特に好まれる場合や、簡便さから引き続き利用されています。

このように、業務用とアマチュア無線ではデジタル移行に対する規制が異なり、アマチュア無線では当面の間、アナログ通信が許可されていますが、業務用無線では全面的なデジタル移行が進んでいます。

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