在日外国人の記録管理は、2012年の制度改正を境に大きく変わりました。
かつては市区町村が管理していた「外国人登録制度」が廃止され、現在は出入国記録と住民票という2つの仕組みで管理されています。行政書士として外国人の帰化申請や在留資格の手続きを行う際、過去の記録を確認する場面は少なくありません。今回は、入管庁への個人情報開示請求の実務に関わる2つのファイルと、その特徴について整理します。
現在の外国人記録管理の仕組み
2012年(平成24年)7月9日、新たな在留管理制度の導入に伴い外国人登録制度が廃止されました。これにより、外国人の記録は大きく2つに分かれて管理されることになります。
1つは出入国記録で、入管庁が保有する出入(帰)国記録マスタファイルに蓄積されます。
もう1つは住民票で、市区町村が管理します。
2012年以前の記録については、廃止された外国人登録制度のデータが「外国人登録原票」として入管庁に移管・保管されており、開示請求によって確認できます。
入管庁への個人情報開示請求には、大きく分けて次の2種類があります。
| 請求の種類 | 内容 | デフォルト期間 |
|---|---|---|
| 外国人出入国記録マスタファイルの開示請求 | 日本への出入国歴の記録 | 2000年1月1日〜請求日 |
| 外国人登録原票の開示請求 | 2012年廃止以前の登録情報(住所・氏名・家族事項等の変更履歴) | 2000年1月1日〜2012年7月8日 |
参考:出入(帰)国記録の開示請求について(出入国在留管理庁) / 外国人登録原票の開示請求について(出入国在留管理庁)
2000年1月1日がデフォルトになっている理由
2つの開示請求は性格が異なりますが、いずれも開始日のデフォルトが「2000年1月1日」である点が共通しています。
出入国記録マスタファイルについては、外国人分は昭和45年(1970年)11月1日以降の記録が保有されています。
外国人登録原票については、外国人登録法の施行(1952年)以降、市区町村への登録申請が行われた記録が対象です。
いずれも理論上はずっと古い時点まで遡れますが、現行のデジタル統合データベースとして整備されたのが2000年前後であるため、2000年1月1日がシステム上の標準起点となっています。
この時期、入管庁の情報システムが刷新されており、出入国記録については2002年4月以降の新規入国者から氏名がカタカナ表記からアルファベット表記に切り替わるなど、2000年代前半にかけて記録方式が段階的に変更されています。日本人出帰国記録のデフォルトが「2002年1月1日」であることも、同世代のシステム更新を反映したものです。
2000年以前の記録が必要な場合は期間を明示して請求する
両ファイルとも、2000年より古い記録が必要な場合は請求書に開始期間を明示します。入管庁のQ&Aでも「具体的な請求期間が不明な場合は、期間に余裕をもって請求することも可能」とされています。
外国人登録原票については、以下の点に注意が必要です。
- 1981年(昭和56年)以前の記録は抽出に時間がかかる旨が請求書に明記されています。
- 郵送切手の目安として、1960年以降が始期の場合は110円程度、1959年以前が始期の場合は記録枚数が多くなるため180円または270円が必要となる場合があります。
たとえば1957年生まれの韓国人特別永住者の場合、開始日を「1957年〇月〇日」(出生・登録時期)と指定して請求することで、約55年分の変更履歴が記録された原票を取得できます。終了日は制度廃止の「2012年7月8日」で固定です。
参考:よくある質問・外国人登録原票について(出入国在留管理庁)
2012年以降の記録は住民票で補完する
外国人登録原票でカバーされるのは2012年7月8日までです。2012年7月9日以降の住所・氏名等の変更履歴については、現住所の市区町村が発行する住民票(除票を含む)で確認することになります。
帰化申請などで生涯の全記録を確認したい場合は、この2つを組み合わせることで出生から現在まで網羅的に把握できます。
| 記録の種類 | カバー期間 | 請求先 |
|---|---|---|
| 外国人登録原票 | 登録開始〜2012年7月8日 | 出入国在留管理庁 |
| 住民票(履歴) | 2012年7月9日〜現在 | 現住所の市区町村 |
まとめ
外国人の記録管理は、2012年の制度改正を境に「外国人登録原票(入管庁保管)」「出入国記録マスタファイル(入管庁)」「住民票(市区町村)」という3層に分かれています。出入国記録マスタファイルと外国人登録原票はいずれも2000年1月1日がデフォルト開始日ですが、それ以前の記録も存在しており、必要な期間を明示して請求することで取得できます。
特別永住者など長期在留者の場合、1950年代まで遡った記録が存在することもあり、その際は1981年以前の記録は抽出に時間がかかる点と、切手料金が増える点を念頭に置く必要があります。なお、令和4年4月1日から任意代理人による請求が可能となり、行政書士が委任状を受けて代理取得できます。手数料は1件300円、処理には概ね1か月を要します。返信用の封筒については、切手料金の過不足を気にせず手続きを円滑に進めたい場合や複数部請求する場合は、入管庁もレターパックの利用を推奨しています。
この記事を書いた人
行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)
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