永住 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

令和7年(2025年)の1年間、永住許可申請の審査結果に大きな変化が起きています。法務省が毎月公表している「出入国管理統計」(統計表5)をもとに、全国・東京・大阪・名古屋の動向を分析しました。

永住申請を検討している方、あるいはすでに申請中の方にとって、現在の審査の実態を知っておくことは重要です。

統計の読み方

はじめに、この統計の構造を理解しておく必要があります。毎月の統計には次の項目があります。

  • 新受:その月に新たに受け付けた件数
  • 旧受:前月以前からの繰り越し(審査待ち)件数
  • 受理:旧受+新受=当月末時点の審査中合計
  • 既済:その月に審査結果が出た件数(許可+不許可+その他)
  • 翌月繰越:受理-既済=翌月の旧受となる件数

つまり「受理」は月間の新規受付数ではなく、審査待ち件数の残高です。永住申請の場合、この残高が常に6万件以上という状態が続いています。

全国の永住申請――年間新規受付7.6万件、積残は拡大が続く

令和7年1月から12月の1年間に全国で新たに受け付けた(新受)永住申請は75,966件、月平均6,330件です。

この1年間に審査結果が出た件数(既済)は70,022件で、そのうち許可39,865件(56.9%)、不許可28,212件(40.3%)、その他1,945件(2.8%)でした。「その他」は取下げや他局への移管などで、処理済みとして残高から差し引かれます。

年間の新規受付(75,966件)に対して処理(70,022件)が追いつかず、差し引き約6,000件の積残が増加しました。1月初頭の繰越は約61,000件でしたが、12月末時点では約66,900件に達しています。申請から結果通知まで数年かかると言われる背景がここにあります。

月別の許可率の推移は、年初と年後半で大きく異なります。

新規受付 既済 許可 許可率 不許可率
1月 4,154 5,837 3,876 66% 31%
2月 4,959 6,563 4,758 73% 25%
3月 5,835 5,322 3,398 64% 33%
4月 6,061 3,825 2,360 62% 35%
5月 5,110 4,055 2,211 55% 42%
6月 7,533 5,267 2,667 51% 47%
7月 7,957 6,825 3,387 50% 48%
8月 6,771 5,943 3,165 53% 44%
9月 6,546 6,182 3,604 58% 39%
10月 6,944 7,637 4,066 53% 44%
11月 5,054 6,057 2,807 46% 51%
12月 9,042 6,509 3,566 55% 42%
年計 75,966 70,022 39,865 56.9% 40.3%

2月の73%を頂点に、その後じわじわと許可率が低下し、11月には不許可51%と逆転しています。2月と比較して25ポイントの落差です。12月にやや持ち直したものの、下半期を通じて不許可が4割前後という水準が続きました。

東京局――新規受付の55%が集中、許可率は51.9%

東京出入国在留管理局への令和7年の年間新規受付(新受)は42,020件で、全国75,966件の55.3%を占めます。さらに審査待ち残高(旧受)では常に全体の約75〜80%が東京局に集中しており、永住審査の中枢を担っています。

2月の77%という高い許可率から、6月には許可40%・不許可57%へと一転します。7月以降も不許可が過半を占める月が続き、11月には不許可率が61%という異例の水準に達しました。年間を通じた東京局の許可率は51.9%、不許可率は45.5%です。

審査待ち残高は1月初頭の約49,155件から12月末の約49,494件へと、この1年でほぼ横ばい(約340件増)でした。処理ペースが新規受付とほぼ釣り合っているものの、それは5万件近い積残を抱えたままの均衡です。

なぜ6月以降に許可率が急落したかは、公表統計だけでは判断できません。ただ、同時期に新規受付も増加しており(1月2,237件→7月4,467件)、審査対象の申請の質や内容に変化が生じた可能性、あるいは審査基準の見直しが行われた可能性が考えられます。

東京・大阪・名古屋の比較

3局の許可率の推移をグラフで、月別データを表で確認できます。タブで切り替えてください。


東京
大阪
名古屋
許可率は既済件数ベース。東京は4月以降急落し6〜11月は40〜50%台が続く。大阪・名古屋は60〜70%台で安定推移。

■ 東京局
新規受付 既済 許可 許可率 不許可率
1月 2,237 2,892 1,930 66.7% 31.1%
2月 2,683 3,698 2,852 77.1% 21.1%
3月 3,236 2,847 1,806 63.4% 34.2%
4月 3,400 1,867 1,033 55.3% 41.0%
5月 2,812 1,977 950 48.1% 47.0%
6月 3,965 3,183 1,285 40.4% 57.1%
7月 4,467 4,436 1,963 44.3% 53.5%
8月 3,837 3,910 1,814 46.4% 51.0%
9月 3,789 4,212 2,290 54.4% 43.3%
10月 3,960 4,720 2,250 47.7% 49.5%
11月 2,795 3,881 1,429 36.8% 60.9%
12月 4,839 4,035 2,030 50.3% 47.1%
年計 42,020 41,658 21,632 51.9% 45.5%
■ 大阪局
新規受付 既済 許可 許可率 不許可率
1月 612 817 554 67.8% 29.1%
2月 645 931 634 68.1% 28.7%
3月 757 760 531 69.9% 26.7%
4月 788 719 509 70.8% 26.7%
5月 716 612 378 61.8% 34.8%
6月 1,084 442 292 66.1% 30.8%
7月 1,108 461 254 55.1% 40.1%
8月 848 352 232 65.9% 29.0%
9月 893 409 260 63.6% 32.8%
10月 910 419 241 57.5% 36.3%
11月 591 331 205 61.9% 33.2%
12月 1,117 517 339 65.6% 30.0%
年計 10,069 6,770 4,429 65.4% 30.8%
■ 名古屋局
新規受付 既済 許可 許可率 不許可率
1月 854 1,575 999 63.4% 34.1%
2月 1,140 1,319 894 67.8% 30.2%
3月 1,266 1,127 750 66.5% 30.6%
4月 1,288 784 471 60.1% 36.7%
5月 1,096 888 480 54.1% 42.8%
6月 1,704 987 656 66.5% 29.9%
7月 1,607 1,461 876 60.0% 37.9%
8月 1,428 1,125 794 70.6% 26.4%
9月 1,293 1,109 765 69.0% 27.9%
10月 1,333 1,900 1,178 62.0% 36.2%
11月 1,126 1,299 832 64.0% 32.9%
12月 2,098 1,274 794 62.3% 35.2%
年計 16,233 14,848 9,489 63.9% 33.5%

許可率・不許可率は既済件数ベース。年計の許可率・不許可率は年間合計から算出。

大阪局――許可率65%と安定、しかし積残が急増中

大阪出入国在留管理局は、東京とは対照的な状況にあります。年間の許可率は65.4%、不許可率は30.8%で、東京の51.9%・45.5%と比べると許可率が高く安定しています。月別でも最低が7月の55%にとどまり、東京の37%(11月)のような急落は見られません。大阪管内に住む外国人にとっては、相対的に安定した審査環境といえます。

注目すべきは審査待ちの積残の急増です。1月初頭の繰越は5,205件でしたが、12月末には8,499件へと、1年間で約3,300件(63%増)増加しています。年間新規受付(10,069件)に対して処理(6,770件)が大幅に追いつかない状態が続いており、このまま申請者が増え続ければ、大阪局でも審査の長期化が避けられない局面に近づいています。

名古屋局――許可率63.9%、月ごとのばらつきに注意

名古屋出入国在留管理局の年間許可率は63.9%、不許可率は33.5%です。東京より許可されやすく、大阪と近い水準といえます。

ただし月ごとの変動が大きい点が特徴です。最高が8月の70.6%、最低が5月の54.1%と、16ポイントの開きがあります。月ごとの処理件数が800〜1,900件程度と相対的に少ない分、統計的なばらつきが出やすい面もあります。名古屋局の審査待ち積残も増加しており、1月初頭の4,092件から12月末には5,477件へと約1,385件増えています。年間新規受付(16,233件)は全国の21.4%を占めており、製造業を中心とした東海地区の在留外国人の増加を反映しています。

まとめ

令和7年の永住申請の動向を入管統計から整理すると、次のことが分かります。

許可率は年前半から年後半にかけて低下しました。全国の許可率は1〜2月の66〜73%から、6月以降は50%前後に下がり、11月には不許可が51%と逆転しました。年間を通じた許可率は56.9%です。

東京局の審査は最も厳しく、変動も大きいです。年間許可率51.9%で、6〜11月は不許可が過半を占める月が続きました。新規受付の55%が集中しており、約5万件の積残を抱えた審査が続いています。

大阪・名古屋は許可率65%前後と相対的に安定しています。ただし管轄は申請者の住所地で決まります。東京在住であれば東京局に申請するほかなく、「大阪局のほうが許可率が高いから」という理由で管轄を選ぶことはできません。

全国的に審査待ちの積残は増加傾向にあります。令和7年だけでも全国で約6,000件増えて約66,900件に達しており、申請から結果が出るまでの期間は今後も長くなる可能性があります。

申請書類の完成度と内容の充実が、結果を左右する大きな要素です。不許可を受けた場合は、再申請に向けた原因分析が不可欠です。永住申請を検討している方は、お早めに専門家にご相談ください。


本記事のデータは法務省出入国在留管理庁が公表する「出入国管理統計」統計表5(令和7年1月〜12月分)に基づいています。統計の「受理」欄は当月末時点の審査中残高(旧受+新受)を、「既済」欄は当月に審査結果が出た件数を示します。

中村光男

この記事を書いた人

行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)

東京都杉並区 TEL 03-6356-3571

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