マンションを購入すると、毎年春に「固定資産税・都市計画税 課税明細書」が届きます。ところが、この書類、読み方がわかりにくいと感じている方は多いのではないでしょうか。
今回は、特に「自分の部屋の固定資産税評価額はいくらなのか」という疑問に絞って、わかりやすく解説します。相続や遺言書を作成するときに不動産の評価額が必要になりますが、この読み方を知っておくと、専門家に依頼する前に自分で確認できるようになります。
なぜわかりにくいのか
課税明細書をはじめて見た方が戸惑う最大の理由は、土地も建物も、「価格(評価額)」の欄にはマンション全体の数字が書いてあるからです。
たとえば土地の評価額として大きな数字が印字されていると、「自分はそんな高額な土地を持っているのか?」と驚いてしまいます。しかしこれはマンションの敷地全体の評価額であり、自分の持分はその一部にすぎません。
一方で、自分の持分に直接対応する数字は別の欄にひっそりと記載されているのですが、説明がなければどこを見ればいいかわかりません。
土地の評価額の読み方
課税明細書の土地の欄には「固定資産税課税標準額」という列があります。マンションの場合、ここに印字されているのは自分の持分に係る課税標準額です。
住宅用地(マンションの敷地はほぼすべてこれに該当)は、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に軽減されています(小規模住宅用地の特例)。
ということは、逆算すると:
自分の持分の土地評価額 = 課税標準額 × 6
たとえば課税標準額が2,000,000円と印字されていれば、

2,000,000円 × 6 = 12,000,000円
これが土地の評価額(自分の持分)です。
※住宅用地の課税標準は原則として評価額の1/6ですが、条件によっては1/3となる部分もあります。正確な区分は課税明細書の摘要欄や都税事務所でご確認ください。
なお、マンションの敷地が広大な場合、敷地がA市とB市の2つの自治体にまたがることがあります。この場合、それぞれの自治体から別々に課税明細書が届きますので、両方の土地欄の課税標準額を6倍して合計する必要があります。
建物の評価額の読み方
建物については土地より単純です。
建物の固定資産税課税標準額は、住宅用地のような特別な軽減がありません。マンションの場合、区分所有の建物については課税標準額=その部屋の評価額がそのまま印字されています。
自分の部屋の建物評価額 = 課税標準額(家屋欄)の数字そのまま
たとえば課税標準額が5,000,000円と印字されていれば、それがこの部屋の建物評価額です。

※新築住宅の減税措置など、一定の条件下では課税標準額に特例が適用され、評価額と課税標準額が一致しない場合があります。減税措置が適用されているかどうかは摘要欄の記載で確認できます。
合計の固定資産税評価額
土地と建物の評価額が求まれば、合計がその部屋の固定資産税評価額です。
| 区分 | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| 土地 | 課税標準額(2,000,000円)× 6 | 12,000,000円 |
| 建物 | 課税標準額そのまま | 5,000,000円 |
| 合計 | 17,000,000円 |
相続・遺言書作成との関係
不動産の評価額には「時価」「固定資産税評価額」「相続税評価額(路線価)」の3種類があり、それぞれ使う場面が異なります。
一般的に、遺言で財産の割合を指定する際や、相続人間で公平に財産を分ける(遺産分割や遺留分の算定など)ためには、実際の市場価値である時価を基準にするのが適切とされています。
一方、それ以外の評価額はそれぞれ次のような目的で使われます。
- 固定資産税評価額:公正証書遺言を作成する際の公証人手数料の計算など、手続き上の基準として用いられます。今回解説した課税明細書の読み方はこの評価額を把握するためのものです。
- 相続税評価額(路線価など):遺言の作成時ではなく、実際に相続が発生した後に、国に納める相続税を計算するために用いられます。
つまり、「遺言書を作る段階では固定資産税評価額」「相続税の申告では路線価等の相続税評価額」「相続人間の実質的な公平を図る場面では時価」という使い分けが基本的な考え方です。
課税明細書から上記の方法で計算した数字を使えば、わざわざ固定資産評価証明書を取得しなくても概算の把握ができます。ただし、公証役場への正式な提出書類としては、都税事務所・市区町村で発行する固定資産評価証明書を使うのが確実です。
まとめ
マンションの課税明細書は、一見すると大きな数字が並んでいてわかりにくく感じます。しかしポイントを押さえると、自分の部屋の評価額は次のシンプルな計算で求められます。
- 土地の評価額 = 課税標準額(土地欄)× 6
- 建物の評価額 = 課税標準額(家屋欄)をそのまま読む
ただし、住宅用地の軽減区分や建物の減税措置によって例外もありますので、正確な数字が必要な場合は固定資産評価証明書を取得するか、都税事務所・市区町村窓口にご相談ください。
毎年届く課税明細書、ぜひ今年から自分で読んでみてください。相続や遺言書の準備を考えるうえでも、自分の不動産の価値を把握しておくことは大切な第一歩です。
参考:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/meisai_mikata.pdf
この記事を書いた人
行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)
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