
決算変更届とは?提出義務と注意点を解説
建設業者は、決算終了後4か月以内に、許可官庁に決算報告を行う義務があります。
この決算報告は「決算変更届(事業年度終了報告)」と呼ばれ、建設業許可を維持するために欠かせない手続きです。特に継続して公共工事の入札に参加したい場合などは、適正な時期に届出を行っていることが前提となります。
決算変更届の目的
決算変更届は、建設業者の財務状況や経営状態を毎年報告することで、許可行政庁(知事または国土交通大臣)が、業者の健全性や経営の安定性を確認するための制度です。これにより、許可要件である「財産的基礎」や「欠格要件該当性」の継続がチェックされます。
提出期限
決算終了の日から 4か月以内 に提出しなければなりません。
例:3月決算の会社の場合 → 提出期限は7月末
手数料について
決算変更届の提出には手数料はかかりません。あくまで許可を維持するための年次報告としての位置づけであり、提出するだけで費用は発生しません。ただし、行政書士などの専門家に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
提出先
- 知事許可の場合:本店所在地の都道府県庁
- 大臣許可の場合:各地方整備局または地方支分部局(関東地方整備局など)
提出書類の主な内容
◆法人の場合の標準的な提出書類◆
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、完成工事原価報告書など)
- 事業報告書(法人の場合)
- 使用人数(提出済みの内容から変更がある場合)
- 定款(又は変更の議事録)(同上 変更がある場合)
- 健康保険等の加入状況(同上 変更がある場合)
- 事業税の納税証明書
※提出書類は、各都道府県や地方整備局で若干異なる場合があります。
◆東京都の「建設業許可・変更手引き」より抜粋(84P)
届出を怠るとどうなる?
決算変更届を提出していない場合でも、すぐに許可が取り消されるわけではありませんが、更新申請や業種追加、経営事項審査の申請時に不利となるほか、元請企業からの評価にも影響を与える可能性があります。
特に公共工事への参加を予定している場合は、経営事項審査(経審)の前提として必要です。
行政書士に依頼するメリット
決算変更届の作成には、財務諸表の読み解きや、施工実績の整理など、一定の知識と経験が求められます。行政書士に依頼することで、正確な届出ができるほか、将来の経審や業種追加申請を見据えた書類作成が可能になります。
まとめ
建設業者は、毎年の決算後に忘れずに決算変更届を提出することが重要です。行政手続きは期限と正確さが求められる分野。経営状況をきちんと反映させるためにも、専門家のサポートをうまく活用しましょう。
決算変更届についてお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。