技能実習2号から特定技能1号へ 「試験免除」と「修了時の試験」の違い 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

特定技能1号へのルートには、試験に合格するルートと、技能実習を修了するルートがあり、今日は後者の話です。

技能実習2号から特定技能1号へ移るときに出てくる「試験」という言葉には、実は二つの違う試験が含まれています。「試験は免除されるのに、試験を受けてください」と言われて戸惑う方は少なくありません。今日は、この二つの試験の関係を整理します。

二つの試験は別の制度に属している

まず押さえておきたいのは、ここでいう試験が、それぞれ別の制度の試験だということです。

特定技能の試験 技能実習2号の修了時の試験
属する制度 特定技能 技能実習
何を確かめるか 特定技能1号として働ける技能と日本語の水準 2号の実習の成果が上がったか
具体例 分野ごとの技能試験、日本語試験 技能検定(随時3級)または技能実習評価試験(専門級)

学校にたとえると、技能実習2号の修了時の試験は「卒業試験」、特定技能の試験は次の課程に進むための「入学試験」にあたります。

「試験免除」で免除されるのは入学試験の方

特定技能1号の在留資格を得るには、原則として、分野ごとの技能試験と日本語試験に合格する必要があります。

ただし、技能実習2号を良好に修了した人は、この技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習の中で必要な技能と日本語をすでに身につけたとみなされるためです。

免除の範囲には、次のような決まりがあります。

  • 技能試験は、技能実習の職種・作業と、特定技能の業務区分との間に関連性がある場合に免除されます。どの職種・作業がどの業務区分に対応するかは、分野ごとに定められています。
  • 日本語試験は、職種・作業にかかわらず、技能実習2号の良好修了で免除されます。

つまり「試験免除」とは、入学試験が免除されるという意味です。卒業試験そのものが免除されるわけではありません。

「良好に修了した」ことはどう証明するか

試験免除の条件である「技能実習2号を良好に修了した」ことは、申請の際に資料で示します。方法は二つあります。

  1. 2号の修了時の試験(技能検定3級または技能実習評価試験の専門級)の実技に合格した証明書
  2. 実習先の会社と監理団体が作成する「技能実習生に関する評価調書」

評価調書は、出勤の状況や、指導員・責任者などの所見を記載する書類です。修了時の試験に合格していない場合などに使います。

また、技能実習生として受け入れた会社が、そのまま特定技能で雇用する場合には、評価調書の提出を省略できる場合があります。過去1年以内に技能実習法の改善命令を受けていないことが条件とされています。

このように、卒業試験は「良好に修了したこと」を示す材料の一つという位置づけです。入学試験の免除を受けるための前提を証明する資料、と言い換えることもできます。

修了時の試験を受けなくてよいわけではない

ここで混乱が起きやすいのが、「評価調書で良好修了を示せるなら、修了時の試験は受けなくてよいのでは」という点です。

技能実習2号の計画は、修了時の試験に合格することを目標として作られています。そのため、技能実習制度の中では、修了時に受検させることが予定されています。入管の窓口で、「試験免除の対象であっても、2号の修了時の試験は受けてほしい」と説明されることがあるのは、この点によるものです。

一方で、提出書類の一覧では、合格証明書と評価調書の「いずれか」とされています。受検していない場合の扱いや、合否の証明をどこまで求めるかは、申請先によって説明が異なることもあります。実務では、次の点を早めに確認しておくと安心です。

  • 修了時に受けるべき試験が、技能検定か技能実習評価試験か(職種によって異なります。技能検定がある職種では技能検定になります)
  • 受検の申込みは済んでいるか(技能検定は、外国人技能実習機構の受検手続支援を通じて申し込みます)
  • 評価調書の提出が必要か、省略できるか
  • 分野ごとの追加の要件はないか(たとえば自動車運送業分野では、日本の運転免許なども必要です)

まとめ

技能実習2号から特定技能1号への移行で出てくる「試験」には、二つの意味があります。

  • 免除されるのは、特定技能の技能試験と日本語試験(入学試験)です。
  • 技能実習2号の修了時の試験(卒業試験)は、免除の前提となる「良好に修了したこと」を示す材料の一つで、技能実習制度の中で受検が予定されています。

同じ「試験」という言葉でも、どちらの制度の、何のための試験かを分けて考えると、手続の流れが見えやすくなります。移行の準備では、修了時の試験の受検状況と、良好修了をどの資料で示すかを、早い段階で確認しておくことをお勧めします。

参考

中村光男

この記事を書いた人

行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)

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