経営・管理ビザ 改正 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

出入国在留管理庁が、7月8日付けで在留資格「経営・管理」に関する「特にお問合せが多い質問」を更新しました。昨年10月に施行された基準の改正をめぐっては、いま実際にこのビザで日本に住んでいる方から不安の声が絶えず、入管庁はこのFAQをたびたび書き換えて、広まっている誤解を打ち消そうとしています。

今日は、その中でも問い合わせが特に多い点を、やさしく整理しておきます。

まず、改正の全体像をおさらい

改正省令は令和7年(2025年)10月16日に施行されました。ポイントは、これまで「500万円の資本金さえあれば」という比較的入りやすい制度だったものが、事業の規模と経営者本人の適格性の両方をしっかり見る制度へと大きく舵を切った、という点にあります。

主な変更点は次のとおりです。

要件 従前 改正後
資本金・出資の総額 500万円 3,000万円
経営者の経歴・学歴 なし 経営・管理の経験3年以上、又は関連分野の修士相当以上の学位
雇用義務 なし 常勤職員を1人以上雇用
日本語能力 なし 申請者か常勤職員のいずれかがB2相当(日本語能力試験N2以上など)
専門家の確認 なし 事業計画について専門家(中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認

金額だけ見ると6倍への引き上げですから、インパクトの大きさは想像に難くありません。ただ、報道や口コミで数字だけが独り歩きし、実態以上に怖い制度として受け止められている面があります。入管庁のFAQは、まさにその「誤解」を解くために出されているものです。

「3年以内に基準を満たせないと帰国」は誤解です

いちばん多い不安が、これです。「新しい基準を満たせなければ、更新できずに帰国しなければならないのか」というものですが、入管庁ははっきり否定しています。

改正前からすでに「経営・管理」で在留している方については、施行日から3年が経過する令和10年(2028年)10月16日までの間は、新基準を満たしていないことだけを理由に更新が不許可になることはありません。まずは3年間の猶予がある、と理解して差し支えありません。

では3年を過ぎたらどうか。ここも「一律に不許可」ではありません。3年経過後の更新申請で仮に新基準に届いていなくても、経営状況が良好で、法人税などの納税をきちんと済ませており、次の更新までに基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況も含めて総合的に判断される、とされています。「3,000万円に満たないから即アウト」という運用ではない、という点が繰り返し強調されています。

「3,000万円の現金」は必要ありません

もう一つの大きな誤解が、「3,000万円を現金で用意しないといけない」というものです。これも正確ではありません。

この3,000万円は、法律上は「申請に係る事業の用に供される財産の総額」という言い方をします。中身は事業主体が法人か個人かで異なります。

  • 法人の場合:株式会社なら払込済みの資本金の額、合名・合資・合同会社なら出資の総額で判断します。ここに従業員の給与や事務所の維持費を足し合わせて3,000万円にする、というやり方は認められていません。あくまで資本金・出資の額そのものです。
  • 個人事業主の場合:そもそも「資本金」を用意するものではありません。事業所の確保や、雇う職員の1年分の給与、設備投資の経費など、事業を営むために実際に投下されている総額をさします。

つまり、個人事業主の方が「3,000万円の資本金を準備しなければ」と身構える必要はない、ということです。入管庁もこの点を明確に「事実ではありません」と答えています。

経営や納税に問題がなくても、不許可はあり得ます

一方で、油断できない面もあります。「経営状況も納税も問題ないのに、更新が不許可になることはあるのか」という問いに対して、入管庁は「あり得る」と答えています。

更新審査では、税金の納付状況だけでなく、経営者として守るべきルール全般が見られます。具体的には、労働基準法や最低賃金法といった労働関係法令の遵守状況、社会保険・雇用保険・労災保険の加入や納付の状況、そして事業に必要な許認可の取得状況などです。これらに問題があると、審査でマイナス評価となり、更新が認められない例もあるとされています。

言い換えれば、資本金の額をクリアすることだけに気を取られず、会社としての足元――保険加入や税の申告・納付、必要な営業許可の取得――をきちんと固めておくことが、これまで以上に重要になっている、ということです。

まとめ

7月8日のFAQ更新は、新しいルールを作ったものではなく、施行後に寄せられた不安や誤解に答える内容です。押さえておきたいのは次の3点です。

まず、既に在留している方には3年間の猶予があり、その間は新基準未達だけを理由に不許可にはなりません。次に、3,000万円は現金で積む必要はなく、個人事業主に至っては資本金という概念自体がなじみません。そして、資本金の数字をクリアしても、保険・納税・許認可といった足元の遵守状況は引き続きしっかり見られます。

数字の大きさに驚いて早まった判断をする前に、まずは自分のケースが実際にどう扱われるのかを正確に確認することが大切です。ご自身の事業形態や在留状況によって見通しは変わりますので、判断に迷うときは、専門家に相談しながら進めていただくのが安心です。

参考(出入国在留管理庁)

中村光男

この記事を書いた人

行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)

東京都杉並区 TEL 03-6356-3571

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