技能実習生と特定技能の部屋の広さ 杉並区 | 行政書士中村光男事務所

技能実習生や特定技能外国人を受け入れる会社は、住まいの手配にも関わります。そのとき書類で確認されるのが、部屋の広さです。

ただし、基準は一つではありません。技能実習は「寝室」で1人4.5㎡以上、特定技能1号は「居室」で1人7.5㎡以上です。数字だけでなく、どこを測るかも違います。

今日は、二つの基準の違いと測り方、技能実習から特定技能へ移るときの扱い、そして居住費を受け取るときの決まりを整理します。

二つの基準はどこが違うのか

技能実習と特定技能では、面積の基準を定めている根拠も、測る場所も別々です。まず全体を表で見てください。

技能実習 特定技能1号
根拠 技能実習法施行規則第14条第1号(適切な宿泊施設の確保)、技能実習制度運用要領 特定技能基準省令第3条第1項第1号ハ(適切な住居の確保に係る支援)、1号特定技能外国人支援に関する運用要領
測る場所 寝室 居室(建築基準法上の居室)
面積 1人当たり4.5㎡以上(おおむね3畳弱) 1人当たり7.5㎡以上(おおむね4.5畳)
複数人の場合 寝室を1人4.5㎡以上で確保 居室全体の面積÷居住人数で7.5㎡以上
誰の責任か 実習実施者または監理団体 特定技能所属機関(登録支援機関への委託も可)

技能実習の基準は「宿泊施設の基準」で、受入れ側が用意する宿舎そのものの要件です。特定技能1号の基準は「支援の内容」の一部で、会社が義務として行う住居確保の支援の中で求められます。

なお、特定技能2号には支援の義務がないため、この7.5㎡の基準は1号についての話です。

技能実習:寝室1人4.5㎡と、面積以外の条件

技能実習の4.5㎡は、寝室のうち実習生が実際に使える部分だけで計算します。床の間や押入れなど、使えないスペースは除きます。

申請では、宿泊施設の見取り図にこの面積を示す必要があります。使う部分を太枠や斜線で囲み、各辺の長さや計算式を書き込んで、算出の根拠が分かるようにします。

面積のほかにも、寝室には次のような条件があります。

  • 私有物収納設備:施錠でき、持ち出せないもの。鍵は実習生本人が管理します。本人のスーツケースで代用したり、押入れを区切ったり、収納ボックスを配るだけでは認められません。
  • 窓:室面積の7分の1以上の有効採光面積があること
  • 冷暖房:社会通念上必要な採暖・冷房設備があること
  • 寝室の分離:就眠時間の違う組が二つ以上あるときは、寝室を分けること

建物全体についても、建築基準法上の「建築物」であること、危険な場所や浸水のおそれのある場所を避けること、避難階段や消火設備を整えることなどが求められています。

宿泊施設が労働基準法の「事業の附属寄宿舎」に当たる場合は、寄宿舎規則の届出などが別に必要です。この手続は労働基準監督署の所管で、届出の代行は社会保険労務士の業務になります。

特定技能1号:居室1人7.5㎡の考え方

特定技能1号の受入れ機関は、本人が住居を確保していない場合、次のいずれかの方法で住居確保を支援しなければなりません。

  1. 本人が借りる物件探しを手伝い、必要なら連帯保証人になるか、家賃債務保証会社を確保して会社が緊急連絡先になる
  2. 会社が借主となって借りた物件を、本人の合意のもとで提供する
  3. 会社が所有する社宅等を、本人の合意のもとで提供する

どの方法でも、居室は1人当たり7.5㎡以上が求められます。ここでいう「居室」は建築基準法第2条第4号の居室で、居住などのために継続的に使う部屋を指します。ロフトは含まれません。浴室・トイレ・廊下・収納なども一般に居室には当たらないため、物件資料の専有面積をそのまま使うと、基準に届かないことがあります。

複数人で住む場合は、居室全体の面積を居住人数で割って、7.5㎡以上あるかを確認します。

このほか、押さえておきたい点が二つあります。

  • 日本人と同等の扱い:同じ業務の日本人に社宅を出しているなら、外国人にも同等に出し、広さも同等にする必要があります。
  • 本人名義で借りる場合:どの物件にするかは本人の意思に委ねられますが、広さや衛生面で適切な住居を選べるよう支援することは必要です。

社宅等を貸す予定のときは、在留資格の申請前に行う事前ガイダンスで、部屋の広さと本人が負担する家賃等を説明することになっています。

技能実習から特定技能へ移るときの例外

技能実習2号などを終えて、同じ会社で特定技能1号に移る人は多くいます。このとき、技能実習のときの宿舎にそのまま住み続けたいという場合の扱いが決まっています。

場面 求められる広さ
新しく住居を用意する 居室1人7.5㎡以上
会社が申請時点ですでに確保している社宅等に、本人の希望で住み続ける 7.5㎡は求められないが、寝室1人4.5㎡以上は必要
実習修了後にいったん帰国し、在留資格認定証明書で戻る(元の社宅等が生活の本拠として続いているなど) 寝室4.5㎡以上で足りる

つまり例外といっても、技能実習の水準より下げてよいわけではありません。

また、すでに住居が確保されていて住居確保の支援が明らかに不要なときは、その支援を行わなくてもよいとされています。ただし、その住居から退去せざるを得なくなった場合などは、改めて支援が必要になり、新しい住居には7.5㎡の基準がかかります。

同じ宿舎に技能実習生と特定技能外国人が一緒に住む場合は、一人ひとりにどちらの基準がかかるのかを確認しておくと、申請の段階で慌てずに済みます。

居住費を受け取るときの決まり

部屋の広さと並んで確認されるのが、本人から受け取る居住費の額です。技能実習・特定技能のどちらも、実費に相当する適正な額でなければならず、会社が住居の提供で利益を得ることは認められません。計算の考え方は両制度でほぼ共通です。

物件の種類 受け取れる額の上限
借上物件 借上げに要する費用(管理費・共益費を含む)を入居人数で割った額以内。敷金・礼金・保証金・仲介手数料などは含めない
自己所有物件 建設・改築に要した費用(土地の費用は除く)、耐用年数、入居人数などから算出した合理的な額
水道・光熱費 実際にかかった費用を、同居している人数(会社の関係者や家族を含む)で割った額以内

制度ごとの注意点もあります。

  • 技能実習:借上物件でも、貸主が役員や同居の親族など会社と同一視できる場合は、自己所有物件として扱われます。
  • 特定技能1号:本人が借主になる場合、敷金・礼金は原則として本人負担ですが、家賃債務保証会社を使ったときの保証料は会社が負担します。家具・家電や火災保険などの費用を受け取るときは、利益が本人に帰属し、実費の範囲で合理的な額であり、本人が理解して合意していることが必要です。

居住費を給与から差し引く場合は、雇用条件書に名目と金額を明記し、本人が十分に理解できるようにします。賃金からの控除には労働基準法上の労使協定も関係するため、労務面は社会保険労務士に確認してください。

まとめ

  • 技能実習は「寝室」で1人4.5㎡以上。床の間・押入れを除いて測り、見取り図に計算の根拠を書き込みます。
  • 特定技能1号は「居室」で1人7.5㎡以上。ロフトは含まず、複数人なら居室全体を人数で割ります。
  • 技能実習から特定技能へ移り、同じ社宅に住み続ける場合は7.5㎡が求められませんが、寝室4.5㎡は必要です。
  • 居住費は実費相当の額までで、住居で利益を得ることはできません。

物件を決めてから基準に合わないと分かると、申請の準備をやり直すことになります。借りる前、または入居人数を決める前に、間取り図で面積を確かめておくことをおすすめします。

なお、技能実習制度は育成就労制度に移行する予定で、宿泊施設の基準もそちらの運用要領で定められます。最新の内容は出入国在留管理庁の公表資料で確認してください。

在留資格の申請書類や1号特定技能外国人支援計画書の作成については、行政書士中村光男事務所でご相談をお受けしています。

参考

在留資格・ビザ申請についてのご相談

在留資格の取得・変更・更新、経営・管理、外国人雇用、国際結婚、永住申請などでお困りではありませんか。

行政書士中村光男事務所では、個人のお客様や外国人を雇用する企業からのご相談を承っています。

初回相談無料・全国オンライン対応・英語対応可


在留資格サポートのご案内 →


無料相談・お問い合わせ →

行政書士中村光男事務所(東京都杉並区)

TEL:03-6356-3571