永住申請で、住民税をいつ納めたかを示す領収書や通帳が見つからないときは、家じゅうを探し回る前に、市区町村の税の窓口に相談してみてください。
すべての自治体ではありませんが、システムに残っている納付日を資料にして出してくれることがあります。
永住許可の申請でも帰化の申請でも、住民税は必ず確認されます。
見られているのは「納めたかどうか」だけでなく、「期限までに納めたかどうか」です。
給与から天引きされている方はあまり困りませんが、納付書で払ってきた方は、いつ払ったかを自分で示さなければなりません。
今日は、なぜ納付日が問われるのか、そして自治体の窓口にどう相談するのかを書きます。
見られているのは「いつ納めたか」
出入国在留管理庁の永住許可申請セルフチェックシートには、「直近○年間、住民税を適正な時期に納税している」という項目があり、その注記に、未納があった場合や当初の納税期限を過ぎてから納めたことがある場合は「いいえ」を選ぶように、と書かれています。
最終的に完納していても、遅れた期があれば「いいえ」に当たるという建て付けです。
ところが、市区町村が出す納税証明書は、ある時点で未納があるかどうかを証明するもので、各期をいつ納めたかまでは通常書かれていません。
つまり、納税証明書だけでは「期限内に納めた」ことの証明にはならず、別の資料が必要になります。
帰化申請では、かつては、期限内に納めたかどうかまでは見られなかったのですが、最近は永住と考え方は同じになりました。
法務局の案内では、住民税を口座引落しで納めている場合は預金通帳の写し、コンビニなどで納付書により納めている場合は日付の入った領収書を持参するよう求められています。
給与天引き(特別徴収)の場合はこれらの資料は不要とされています。
証明しやすい人と、手間のかかる人
同じ住民税でも、納め方によって手間がまったく違います。
- 特別徴収(給与天引き) … 毎月の給与から引かれ、勤務先が納めます。遅れようがないので、追加の資料を求められないのが通常です。
- 口座振替 … 通帳の該当ページの写しで足ります。ウェブ通帳の画面の写しでも差し支えないとされていますが、加工できない状態で印刷したものに限られ、表計算ファイルなどは認められません。
- 普通徴収(納付書で納付) … いちばん手間がかかります。年4期分を、直近3年なら12枚、5年なら20枚、領収書や払込証を探すことになります。
普通徴収になるのは、個人事業の方だけではありません。会社員でも、確定申告をした結果として住民税が別に発生した場合、副収入があった場合、退職して給与天引きが止まった場合、扶養から外れた年などに納付書が届きます。ご本人が「自分は天引きのはず」と思い込んでいることもあり、後から探すと領収書が見つからない、という事態が起きます。引っ越しをしていれば、市区町村をまたいで探すことにもなります。
自治体の窓口に相談するという方法
こうしたとき、通帳や領収書を家じゅう探す前に、住んでいた市区町村の税の窓口に相談してみる方法があります。
以前は「納税証明書に納付日は載せられません」と断られることも珍しくありませんでした。
最近は対応が変わってきており、納税証明書の参考資料として納付日の一覧を作ってくれる自治体や、「情報提供申出書」といった様式を用意している自治体があります。自治体が保有している自分自身の情報について、提供を求めるという位置づけです。
この種の手続には、納税証明書と違って書式や記載内容が法令で決まっていない、という特徴があります。裏を返せば、何を知りたいのかをこちらが具体的に書く必要があります。「私○○○○の令和△年△月△日以降の市民税の納付日」といった書き方で、対象の税目と期間を特定するのが基本です。
実際に使うときは、次の点に注意してください。
- 名称も取扱いも自治体ごとに違います。まず電話で確認するのが早道です。
- 本人確認書類が必要です。郵送で申し出る場合は、住民票の写しの添付を求められることがあります。
- 代理人が申し出る場合は委任状が要ります。作成から30日以内のものに限る、といった条件が付くこともあります。
- 記録の保存年限を過ぎた古い分は出てきません。
- 出てきた資料には、遅れて納めた事実もそのまま載ります。
期限後の納付が見つかったとき
資料は事実をそのまま示しますから、都合の悪い納付日も一緒に出てきます。ここは隠しようがありません。
できるのは、遅れた事情(納付書が旧住所に届いていた、体調を崩した、事業の資金繰りなど)を説明したうえで、その後は期限内に納めている状況を示すことです。もっとも、これで必ず結果が変わるわけではありません。
もう一つの考え方は、時期を待つことです。
永住許可では直近何年かの期限内納付が問われますから、遅れた年が対象期間から外れるまで待ってから申請する、という判断も現実的です。
急いで申請して不許可の記録を重ねるより、条件が整ってからのほうがよい場合があります(もっとも、個別に入管の担当者に伺うと、不許可でも理由が明確なら、そのことを解消すれば、不許可の記録自体がネガティブではないと説明してくれます。)。
どちらを選ぶかは、ご自分の年齢、在留期限や家族の事情とあわせて考えることになります。
在留資格ごとの整理(永住許可申請セルフチェックシート)
永住許可の申請では、在留資格に応じて3種類のセルフチェックシートが用意されています。公的義務の履行について、どの期間が問われるかを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 就労資格 | 日本人・永住者の配偶者等 | 定住者 |
|---|---|---|---|
| 在留年数など | 引き続き10年以上在留し、うち就労資格または居住資格で5年以上 | 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、引き続き1年以上在留(実子等は1年以上の在留) | 「定住者」で5年以上継続して在留 |
| 住民税を適正な時期に納税 | 直近5年間 | 直近3年間(実子等は直近1年間) | 直近5年間 |
| 年金・医療保険料を適正な時期に納付 | 直近2年間 | 直近2年間(実子等は直近1年間) | 直近2年間 |
| 国税の未納がないこと | 3資格共通(源泉所得税・申告所得税とそれぞれの復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税) | 同左 | 同左 |
| 在留期間の決定 | 3資格共通(「3年」または「5年」が決定されていること) | 同左 | 同左 |
| 罰金刑・懲役刑・禁錮刑 | 3資格共通(受けたことがないこと) | 同左 | 同左 |
補足として、就労資格の方が高度専門職のポイント計算で70点以上なら在留3年・住民税は直近3年、80点以上または特別高度人材なら在留1年・住民税と社会保険料は直近1年と、期間が短くなります。また、配偶者等の方が扶養を受けている場合は、扶養者の納税・納付状況が問われます。定住者の方も、10年以上の在留と就労資格等での5年以上の在留があれば、定住者としての5年に満たなくても要件を満たすとされています。
まとめ
永住許可でも帰化でも、住民税は「完納していること」に加えて「期限内に納めてきたこと」が問われます。給与天引きの方は資料が要りませんが、納付書で納めてきた方は、納付日の分かる資料を自分で用意する必要があります。
通帳や領収書が見つからないときは、自治体の窓口に相談してみてください。納付日の一覧や情報提供の様式を用意しているところがあります。ただし取扱いは自治体ごとに違い、記録が残っていない期間もあります。そして資料には遅れた事実も載ります。
まずは自分の納付状況を正確に把握することが、申請するか、時期を待つかを判断する出発点になります。
参考
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等) https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu01.html
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」(定住者) https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu02.html
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」(就労資格・家族滞在) https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu03.html
- 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa_00003.html
- 東京法務局「帰化許可申請書に添付する書類」 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00891.html






