外国人のアルバイトや副業、許可は必要? 資格外活動の基本を行政書士が解説①

日本に住む外国人が「アルバイトをしてもいいか」「副業はできるか」と聞かれたとき、答えはシンプルではありません。「資格外活動許可」という制度が関係してくるのですが、そもそもなぜそんな許可が必要なのか、制度の仕組みから理解しておかないと、個別の問題には対処できません。

今回はシリーズの第1回として、在留資格制度の基本から整理します。

在留資格とは「何をしていいか」の許可である

外国人が日本に在留するには、必ず在留資格が必要です。在留資格は大きく分けて、入管法の「別表第一」に定めるものと「別表第二」に定めるものがあります。

別表第二に掲げられているのは、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4種類です。これらは身分・地位に基づく在留資格であり、就労活動に制限がありません。コンビニでアルバイトしようが、工場で働こうが、原則として自由です。

一方、別表第一に掲げられているのは、活動の種類に応じて細かく分類された在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」「留学」「技能」「特定技能」など、なじみのある名称が並びます。これらは「日本で何をするか」に応じて許可されるものなので、許可された活動の範囲内でしか、収入を伴う活動や報酬を受ける活動はできません。

この「別表第一か、別表第二か」の区別が、資格外活動を考えるときの出発点です。下の図で確認してください。

別表第一は、さらに5つに分かれます。別表第一の一の表と二の表が、いわゆる「就労資格」でと言われるものである点に、ご注意ください。
在留資格一覧表 行政書士中村光男事務所

 

「資格外活動」が問題になるのは別表第一の人だけ

「技術・人文知識・国際業務」でIT企業に勤めている外国人が、週末に飲食店でアルバイトをしようとしたとします。飲食店での接客は「技術・人文知識・国際業務」という在留資格には含まれていません。つまりこれは、許可された在留資格の範囲を超えた活動、すなわち「資格外活動」になります。

同様に、「留学」の在留資格で来日した留学生がコンビニでアルバイトをする場合も資格外活動です。留学という在留資格は「学ぶこと」を目的として許可されたものであり、アルバイトはその範囲外だからです。

これに対して「定住者」の在留資格を持つ人が飲食店でアルバイトをするのは、就労制限がないため資格外活動にはなりません。制度の対象自体が異なるのです。

なお、別表第二の方であっても、在留資格本来の活動(たとえば日本人の配偶者としての生活実態)を実際に行っていることは前提です。この点は次回の「一般原則」で詳しく触れます。

資格外活動の「対象」は何か――報酬のない活動はどうなる

資格外活動許可が必要になるのは、「収入を伴う事業を運営する活動」または「報酬を受ける活動」に限られます。無報酬の活動は対象ではありません。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働く外国人が、週末に無報酬でボランティア活動に参加する場合、これは資格外活動にはあたりません。日常生活の一部として行われる活動と考えられるためです。

一方、同じボランティアでも、交通費程度を超える金品を受け取る場合には「報酬」と判断される可能性があります。「無報酬だから何でも自由」ではなく、実態として報酬に当たるものがないかを確認することが必要です。

無許可で資格外活動をするとどうなるか

資格外活動許可を受けずに収入を伴う活動や報酬を受ける活動を行った場合、入管法違反となります。退去強制事由にもなり得る重大な違反であり、在留資格の更新や変更の審査にも悪影響を及ぼします。

雇用する側にとっても無関係ではありません。不法就労と知りながら外国人を雇用した場合、不法就労助長罪として処罰される可能性があります。「知らなかった」では済まないケースもあるため、雇用する側も在留カードの確認など、適切な注意が求められます。

「資格外活動許可」は何を許すものか

資格外活動許可とは、現に持っている在留資格の範囲外で、収入を伴う事業を運営したり報酬を受けたりする活動を行うことを、個別に許可する制度です(入管法第19条第2項)。

ここで重要なのは、何でも許可されるわけではない、という点です。許可には「包括許可」と「個別許可」の2種類があり、この2つの違いが実務上もっとも頭を悩ませる部分です。包括許可は週28時間以内のアルバイト的な活動を幅広く認めるものですが、個別許可にはより限定的な条件があります。また、同じ種類の副業だからといって単純に許可されるわけでもなく、場合によっては所属機関の追加という別の手続きを検討すべきケースもあります。

なお、個別許可で認められる活動は、先ほど「就労資格」とご説明した「入管法の別表第一の一の表または二の表に定められた活動内容」に当てはまるものに限られます。ただし、「特定技能」と「技能実習」はこの対象から外れています。詳しくは第2回で解説します。

さらに、包括許可と個別許可の具体的な内容や判断については、管轄の入管(地方出入国在留管理局)によって解釈や運用が異なる場合があります。これは実際の照会事例でも確認されていることで、理論上の整理と現場の運用が食い違うこともあります。必ず自分の住所を管轄する入管に事前に確認することをお勧めします。詳しくは次回以降で解説します。

まとめ

在留資格は「日本で何をしていいか」の許可であり、別表第一の在留資格を持つ人は、許可された活動の範囲外で報酬を受ける活動をしようとする場合、事前に資格外活動許可を取得しなければなりません。別表第二(永住者・定住者など)の人は就労制限がないため、この制度の対象外です。ただし、報酬のない無償のボランティアなどは、そもそも資格外活動許可の対象にはなりません。

無許可の資格外活動は入管法違反であり、本人だけでなく雇用する側にもリスクがあります。

次回は、資格外活動を許可するかどうかの判断基準となる「一般原則」7つの要件を読み解きます。なぜこのルールになっているのか、制度の原理原則が見えてきます。