副業・アルバイトの許可はどんな場合に下りる?資格外活動の7要件をわかりやすく解説|資格外活動許可②

「資格外活動の許可は、どんな場合に下りるのでしょうか。」——これは実務でもよく聞かれる疑問です。入管庁は許可の判断基準として、7つの要件を定めています。今回はこの7つを一つずつ見ていきながら、制度の原理原則を読み解いていきます。

7つの要件を整理する

申請があったとき、入管庁はこの7つの要件すべてに当てはまるかを確認します。一つでも欠けると、原則として許可されません。ただし、包括許可(週28時間以内のいわゆるアルバイト)については、要件③だけが免除されています。

No. 要件のポイント 包括許可 個別許可
本来の活動が妨げられないこと 必要 必要
本来の活動を現にしていること 必要 必要
別表第一の活動類型に当たること 免除 必要
法令違反・風俗営業でないこと 必要 必要
収容令書などを受けていないこと 必要 必要
素行が不良でないこと 必要 必要
所属機関が同意していること 必要 必要

①と②が、この制度の根っこにある

7つの中で最も大切なのが、①と②です。

①は「資格外の活動をすることで、本来の在留資格の活動に支障が出ないこと」、②は「本来の在留資格の活動を、現在ちゃんとやっていること」です。

つまり、本業あっての副業という考え方です。「留学しているなら、まず学業が本分」「就労ビザで働いているなら、本来の仕事が主役」——ごく当たり前の話ですが、これがこの制度を支えている一番の原則です。

ちなみに前回、永住者や定住者などの別表第二の方は資格外活動許可の対象外とお伝えしました。ただ、この②の考え方は彼らにも無関係ではありません。たとえば「日本人の配偶者等」という在留資格であれば、配偶者としての生活実態があってこその在留資格です。仕事だけしていて配偶者としての実態がまったくないとなると、在留資格の更新の場面で問題になることがあります。

前回もお見せしましたが、「別表第一」の在留資格は、

③が、個別許可の「質のチェック」になる

要件③は少しわかりにくいのですが、かみ砕くとこういうことです。

個別許可を申請する場合、行おうとする活動が「入管法の別表第一の一の表または二の表に定められた在留資格の活動内容に当てはまること」が必要です。

日本の入管法には、外国人が日本で行える活動を在留資格ごとに列挙した一覧表(別表第一)があります。「教授」「芸術」「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「留学」……といった在留資格に対応する活動内容が、この表に書かれています。個別許可で認められる資格外活動は、この表に書かれている活動の範囲内のものに限られます。「日本が在留資格として公式に認めている活動の種類に当てはまるものでなければ、資格外活動としても許可しない」というルールです。

ただし例外があり、同じ別表第一の中でも「特定技能」と「技能実習」は対象から外れています。この2つは受け入れ機関の要件や人数枠、監理団体など独自の厳しいルールで別途管理されており、資格外活動の枠組みに乗せてしまうとそのルールを迂回できてしまうため、除外されています。前回も掲示した、下記の表をご覧ください。

在留資格一覧表 行政書士中村光男事務所

一方、包括許可でこの要件が免除されているのは、週28時間という時間の上限があるからです。時間さえ守っていれば本来の活動への影響も限られるので、活動の種類は問わず幅広く認めましょう——という発想です。コンビニでもファミレスでも、週28時間以内なら活動の種類を問わない包括許可に対し、個別許可は時間の上限がない代わりに活動の「中身」を厳しくチェックする。ここが大きな違いです。

なお、特定技能と技能実習がこの要件から除かれているのは、これらが独自の厳しいルール(受け入れ機関の要件、人数の枠、監理団体など)で管理されているためです。資格外活動の対象に含めてしまうと、そのルールを簡単にくぐり抜けられてしまうことになるので、最初から対象外とされています。

また、個別許可では活動の種類が要件に合っているかは見ますが、上陸基準(学歴や職歴、資格の要件など)まで満たすことは求められていません。すでに在留資格を持って日本に適法に住んでいる方が副業をする場合、改めて学歴や経験を一から審査するのは過剰です。活動の種類が合っていれば、それで十分という考え方です。

包括許可が使えるのは誰でもいいわけではない

ここで一つ、見落としがちな大事なポイントをお伝えします。

包括許可(週28時間以内)は、誰でも申請できるわけではありません。対象となるのは、主に次の方々です。

  • 「留学」の在留資格の方
  • 「家族滞在」の在留資格の方
  • 就職活動中・内定後の「特定活動」の在留資格の方
  • 「教育」「技術・人文知識・国際業務」「技能(スポーツインストラクター)」の在留資格の方——ただし、地方公共団体などとの雇用契約に基づいて活動している方に限られます

最後の点が重要です。民間企業に勤めている「技術・人文知識・国際業務」の方は、包括許可の対象外です。週28時間以内であっても、包括許可は使えません。副業をしたい場合は、個別許可を申請するか、所属機関の追加という別の手続きを検討することになります。

身近なところでいうと、IT企業や商社に勤めている外国人の方が「週に少しだけ翻訳の副業をしたい」と思っても、包括許可は使えないのです。この点は意外と知られていないので、注意が必要です。

④〜⑦は「当たり前の条件」

残りの4つは、いわば常識的な条件です。

④については、法律に違反する活動や、風俗営業・性風俗のお店での仕事はそもそも認められません。週28時間以内であっても例外はなく、こうした業種は包括許可の対象からも外れています。

⑤は、退去強制の手続きが進んでいる方には許可しない、というものです。これは当然のことでしょう。

⑥の「素行が不良でないこと」は、犯罪歴や過去の法令違反などが判断材料になります。在留資格の更新審査でも同じ基準が使われます。

⑦は、会社や学校などと契約して在留している方(技術・人文知識・国際業務、留学など)については、その所属先が「うちの外国人スタッフが副業することに同意します」と言っていることが必要、という要件です。所属先にも一定の管理責任を持ってもらう趣旨です。

実務では入管によって解釈に幅がある

ここで一つ、大切なことをお伝えしておきます。

資格外活動許可の判断——特に「高度な専門業務や高収入の副業が包括許可の範囲に入るか、それとも個別許可が必要か」という点については、管轄の入管によって実務上の解釈に幅がある場合があります

実際に複数の入管に照会したところ、ある入管は「週28時間以内であれば、業務の高度さや収入の多さは関係なく包括許可の範囲で問題ない。ただし、時間管理の記録はきちんと残しておくこと」と回答しました。一方、別の入管は「留学生の資格外活動はあくまで学費を補うための補助的なものが前提であり、高度な専門業務は個別許可が必要。契約内容を見て個別に判断する」と回答しました。

同じ法律のもとでも、窓口の担当者や管轄によって運用の解釈に幅があるのが入管行政の実態です。どちらが正しいというよりも、こうした幅があること自体を知っておくことが大切です。

実務上の対応としては、必ず自分の住所を管轄する入管に事前に確認することが不可欠です。 理論上の整理はあくまでも出発点であり、最終的な判断は管轄入管に直接問い合わせることで確認してください。また、いずれの解釈であっても、時間管理の記録をきちんと残しておくことは共通して求められる点です。入管から問い合わせがあった際に対応できるよう、活動時間や報酬の記録は日頃から整備しておきましょう。

まとめ

7つの要件を通じて見えてくるのは、「本来の在留目的が主、資格外活動はあくまで従」というシンプルな原則です。本来の活動を妨げないこと(①)、本来の活動を現にやっていること(②)——この2つがすべての出発点になっています。

また、包括許可は留学生や家族滞在の方など対象者が限られており、民間企業に勤める「技術・人文知識・国際業務」の方などは使えない点も、忘れずに確認してください。

制度の建前としての理解と、管轄入管への事前確認、そして時間管理の記録——この3点が、資格外活動を適法に行うための基本です。

次回は、「副業として何ができるか」という実務的な問いに正面から答えていきます。包括許可と個別許可、それぞれで何が可能で何が難しいのか、具体的なケースを交えながら解説します。

中村光男

この記事を書いた人

行政書士中村光男事務所 代表 中村光男(行政書士・防災士・AFP)

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