永住申請では、年金記録の提出を求められます。これは、審査側として、永住申請者や、配偶者が、国民年金加入者か厚生年金加入者かを知ったうえで、厚生年金加入者(国民年金2号被保険者)、国民年金3号被保険者を除く、自営業者や失業者のような自分で国民年金保険料を払う義務のある方には、期日を守ったタイムリーペイメントがなされているかを知りたいものと思われます。
永住審査で求めれる年金記録
例えば、家族滞在者(主人と同時に永住申請する場合は、「永住者の配偶者のカテゴリー」です)ではこのように記載されています。
留意事項には
「※基礎年金番号部分を黒塗りしたものを提出してください。
・国民年金以外の年金(厚生年金など)に加入している方は10の資料を提出してください。ただし、直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は10の資料に加え、11の資料も提出してください。
・ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面の提出に関し、申請時の直近2年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方は「各月の年金記録」の中にある、「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面も併せて提出してください。
・「ねんきん定期便」については35、45、59歳の誕生月に封書でねんきん定期便が送付されている方は提出書類としてご利用いただけます。なお、毎年送付されるハガキ形式のねんきん定期便もありますが、全ての期間が確認できないため提出書類としては御使用いただけません。(※ハガキ形式のねんきん定期便は不可。) 」
と記載されています。
上記の説明で「ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面の提出に関し、申請時の直近2年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方は「各月の年金記録」の中にある、「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面も併せて提出してください。」が分かりにくいですね。
ただ、入管側の意図を知れば、出すべき書類もわかりますので、以下に意図をご説明します。これは私なりの解釈ですが、都度、入管に確認しながら進めていますので、妥当な考え方であると思っています。
家族滞在者以外のケースは以下をご覧ください。
申請書・必要書類・部数
申請者が厚生年金加入者の場合
ねんきんネットの「年金記録を確認する」のメニューをクリックすると、以下のような画面になります。
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の方は、すべて国民年金に加入することが義務付けられています。国民年金の被保険者でない方は、通常はいないです。しかし、ねんきんネットでは、厚生年金に加入している人(通常、国保2号被保険者)は、「各月の年金記録」では、下記のように「厚年」としか表示されません。
この状態であれば「申請時の直近2年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方」ではないと考えてよいと思います。
この場合は、上記の「月別の年金記録の情報画面」にある、下記の画面を含むコピーが、「直近2年間のねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面 となります。
(実際に、今までの申請ではそのような解釈で問題視されていません。なぜなら、厚生年金加入者の場合は、保険料は、個人でなく会社が支払うので、保険料の納付状況を細かくは調べないでよいはずだからです。各「厚金」のマスをクリックすると、詳細情報がでてきますが、それらを全て印刷する必要はないです。)
申請者が国民年金3号被保険者の場合
技術・人文・国際業務などの就労資格者の配偶者(家族滞在)が、一緒に永住申請する場合などの奥様の立場がこうなることが多いです。
国民年金3号被保険者とは「第2号被保険者に扶養されている配偶者の方で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方(年収130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる方は、厚生年金保険および健康保険に加入することになるため、第3号被保険者には該当しません)。」とされています。
家族滞在の方は、厚生年金加入者(国保1号被保険者)である配偶者の扶養家族であり、国保3号被保険者であることが多いでしょう。
国保3号被保険者は、保険料の支払い義務がありません(厚生年金制度の全体から3号被保険者の国民保険料は賄われていますので)。よって、ねんきんネットで過去2年に国民年金の被保険者であった期間がある方としても、それが3号被保険者であれば、保険料納付を詳しく調べる必要はありません。
したがって、「ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面の提出に関し、申請時の直近2年間において、国民年金の被保険者であった期間がある方は「各月の年金記録」の中にある、「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面も併せて提出してください。」という趣旨は、「「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」で過去2年が第三号被保険者であることが分かればよい」という趣旨と解すべきだと考えます。
ねんきんネットでは、下記の②ように国民年金の記録を見るメニューがありますので、ここをクリックして過去2年の国民年金の加入が第3号被保険者としてのものであったことを証明できればよいと思います。
国民年金の過去2年間の記録が表示された画面や、その2年間が「3号被保険者」であったことが分かるページを印字するのが良いと思います。
厚生年金と同様に、国民年金も、各月をクリックすると下記のような「3号被保険者である」旨の表示がでてきますが、これを24か月分コピーする必要はないです。他の箇所で、その2年が「3号被保険者」であったという表示を見つけましょう。
国民年金の保険料領収書の提出義務がある場合
留意事項には
「※基礎年金番号部分を黒塗りしたものを提出してください。
・直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。
・提出が困難な方は、その理由を記載した理由書(任意の様式に作成者と作成年月日を記載したもの)を提出してください。
・ 直近2年間の全ての期間において国民年金に加入していた方で、直近2年間(24月分)の国民年金保険料領収証書(写し)を提出できる場合は10の資料を提出していただく必要はありません。」
と記載されています。
「直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は、当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。」ということですが、言葉尻をとらえるようですが、「国民年金はは日本に住む20歳以上60歳未満の方は、すべて国民年金に加入することが義務」ですから、<国民年金に加入していた期間がある方>がひとつのカテゴリーとして存在しているように書いてるのはわかりにくいです。これは、<厚生年金に加入していない期間のある方>という意味です。
<厚生年金に加入していない期間のある方>とは自営業者や、転職のはざまで一時的に失業している方などです。このようなときには、国民年金保険料を自分で支払う必要があるのです。国民年金保険料は毎月口座振替されているケースが多いので、そのコピーを提出すればOKです。
逆に、証明期間の全てで、国民年金保険料の支払いが証明できれば、ねんきんネットの資料は出さなくてよいとなっています。
行政書士中村光男事務所について