令和8年(2026年)から、マンション管理の根幹となる「区分所有法」の改正法が施行されます。これに合わせ、国土交通省の「マンション標準管理規約」も令和7年10月に改訂されました。
今回の改正は、所有者の高齢化や所在不明者の増加といった、現代のマンションが直面している課題に対応するためのものです。各管理組合においては、法改正の趣旨を理解し、現在の規約との整合性を確認する作業が求められます。
以下に、主な変更点と規約見直しのポイントを整理します。
意思決定ルールの円滑化(出席者基準の導入)
これまでの区分所有法では、規約の変更や共用部分の重大変更といった重要事項(特別決議)において、賛成票の計算には「全区分所有者(分母)」を基準とする必要がありました。
しかし、改正法では、集会(総会)に出席した区分所有者の議決権の4分の3以上の賛成で決議できる仕組みが導入されます。
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背景: 連絡が取れない、または無関心な所有者が多い場合に、必要な修繕やルール変更が停滞することを防ぐ目的です。
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見直しの視点: 法律が認める範囲で「出席者ベース」の決議を取り入れるかどうか、組合内での検討が必要になります。
所在不明区分所有者への対策
長期間連絡がつかず、管理費の滞納や建物の維持管理に支障をきたしている所有者への対応が強化されます。
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所在不明者の除外: 裁判所の通知を経ることで、議決権の分母から所在不明者を除外できる制度が設けられます。
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管理者による専有部分の管理: 適切な管理が行われていない部屋に対し、利害関係人が裁判所へ申し立てることで、管理人がその部屋の修繕などを行える仕組みが整えられます。
マンション標準管理規約の改訂
法律の改正を受け、国土交通省が示す「標準管理規約」もアップデートされています。主な変更点は以下の通りです。
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外部専門家の活用: 理事のなり手不足に対応するため、外部の専門家(マンション管理士、行政書士等)を役員として受け入れやすい規定の整備。
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WEB会議・電子投票の明確化: IT技術の進展に合わせた、総会運営のデジタル化に関する規定の拡充。
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修繕積立金の適切な設定: 将来の修繕計画に基づいた、段階的な増額案などの合意形成を円滑にする規定。
管理組合が取り組むべきこと
法律が改正されたからといって、既存の管理規約が自動的に書き換わるわけではありません。改正法のメリットを享受するためには、各組合で規約変更の決議を行う必要があります。
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現行規約の確認: 現在の規約が、改正後の法律や最新の標準管理規約とどこが乖離しているかを確認します。
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合意形成の準備: 決議要件の緩和などは、区分所有者の権利に深く関わる部分です。十分な周知期間を設け、丁寧な合意形成を図ることが重要です。
令和8年の施行に向けて、まずは理事会や委員会において、最新の情報収集と規約の見直しに向けたスケジュールを検討されることをお勧めいたします。
【参考資料】
今回の改正内容の具体的な読み込みや、条文案の作成についてさらに詳しく知りたい点があれば、いつでもお知らせください。
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