
クリニックを開業するときには、注意すべきことに、「オンライン資格確認について」の手続きは、保健所への届出より以前の段階で済ませておくことです。保健所へのクリニックの開設届⇒厚生局への「保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請」を順番に進める前にしておかないと、保険医療機関の指定がおりても、肝心のオンライン資格確認ができなくなってしまします。
オンライン資格確認とは
オンライン資格確認は、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができる仕組みです。
オンライン資格確認は、患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるものであることを踏まえ、保険医療機関・薬局に、令和5年4月からその導入を原則として義務付けることとされました。
クリニックを開設する際、保健所への届出(医療法上の開設から10日以内、保険医療開始の前月上旬目途)⇒保健所の実査⇒届出副本の受取り⇒厚生局への保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請(保険医療開始の1か月前)⇒保険医療機関・保険薬局の指定と進みますが、この流れとは別に、保険医療スタート月の2か月前から、オンライン資格確認の導入手続きを開始しないと、間に合わなくなります。
厚労省のHPでは、「新設の保険医療機関及び保険薬局において、診療開始月の月初からオンライン資格確認を導入する場合は、別途手続きが必要となります。」と説明されていますが、現実の事務処理は、「診療開始月の月初からオンライン資格確認できる」こと以外には手続きが困難になっていますので、要注意です。
新設の保険医療機関及び保険薬局において、診療開始月の月初からオンライン資格確認を導入する場合は、別途手続きが必要となります。
①地方厚生(支)局へ「受付番号」の提供依頼を行ってください。
以下各地方厚生局HPをご確認ください。
北海道厚生局 東北厚生局 関東信越厚生局 東海北陸厚生局 近畿厚生局
➁開設月前々月の15日までに地方厚生(支)局から発行された「受付番号情報提供依頼書兼回答書」をスキャンし、PDFファイル等にてメールに添付して支払基金へ提出してください。
提出先メールアドレス:iryo01@ssk.or.jp
③アカウント登録後、オンライン資格確認利用申請及び電子証明書発行申請を行ってください。
支払基金(iryo01@ssk.or.jp)から「受付番号情報提供依頼書兼回答書」の受付処理完了の連絡が来ましたら医療機関等向け総合ポータルサイトにアカウント登録し、オンライン資格確認利用申請、電子証明書発行申請を行ってください。
(医療機関向け総合ポータルサイト「https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010841」)
オンライン資格確認導入の流れ
オンライン資格確認導入については、早めに準備しなければいけない事項であるにも関わらず、クリニック開設者が最初に相談に行く、保健所ではあまり詳しい情報は得られないことがあります。というのも、オンライン資格導入に関して、厚労省は、保健所ではなく、地方厚生局を通じて協力要請を行っているからです。
オンライン資格確認導入に関する情報は、「地方厚生局のHP」(例 関東厚生局の場合https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/ichiran_saikofu_shinsei_00001.html)や、医療機関向け総合ポータルサイトのトップページから「!」マークの付いた「新設の場合」のURLhttps://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0011132 から得られます。
まずは、①「顔認証付きカードリーダー」の調達、②システム事業者への発注を早い段階で済ませ、③地方厚生局に受付番号の取得/利用申請までの3ステップを、保険医療スタート(指定)の2か月前には終わらせておきましょう。
医療機関コードと、オンライン資格確認用の「受付番号」の違い
医療機関コードは、「保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請」によって、保険医療機関指定日に得られるコードです。これを待っていては、保険医療機関指定日にオンライン資格確認ができません。そこで、医療機関コードが発行される前に、その代替で先行して与えられるのが、「受付番号」です。
怖いのは、保険医療機関の指定日に対し、「医療機関コード」(つまり保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請)と「受付番号」の発行の締め切りが異なっていることです。関東厚生局の場合、前者は前月の10日(約20日前)ですが、後者は前々月の3日(約2か月前)です。
オンライン資格確認用の「受付番号」の締め切りが過ぎてしまったら・・・
この場合、「新設の保険医療機関及び保険薬局において、診療開始月の月初からオンライン資格確認を導入する場合」(前出厚労省HP)ではない場合にあたりますが、実は、この事態は想定されていないので、医療機関向け総合ポータルサイトには、手続きの記載がありません。
実務上、受付番号の発行請求をしないで、保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請を進めてしまった場合は・・・
①厚生局は、「受付番号」を発行してくれないので、指定日以後に「医療機関コード」を「受付番号」代わりに、医療機関向け総合ポータルサイトにメールで送付し、なるべく早く、アカウント設定⇒オンライン資格確認導入に進むようにする。(⇒上記の「➁開設月前々月の15日までに地方厚生(支)局から発行された「受付番号情報提供依頼書兼回答書」をスキャンし、PDFファイル等にてメールに添付して支払基金へ提出してください。 提出先メールアドレス:iryo01@ssk.or.jp を読み替え。)
②指定日以降、オンライン資格確認導入が済むまでの間は、医療機関向け総合ポータルサイト「(医療機関・薬局向け)令和6年12月2日以降の医療機関等の窓口における資格確認方法について」の「・マイナ保険証での受付が出来ない場合の資格確認方法」の記事を参考に実務を進めることなろうかと思います。
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm#apple
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&table=kb_knowledge&sys_id=0bafe7548309e21493695fa8beaad3e8&view=sp#apple
何らかの事情でマイナ保険証で受付が出来ない場合(※)でも、有効な保険資格を有する方が適切な自己負担分(3割分等)の支払いで保険診療を受けられるよう、診療報酬請求を行うための情報を以下の方法で収集するなど、ご協力をお願いします。
なお、喪失済みの資格に基づき診療報酬請求等を行った場合であっても、医療費の審査支払の時点で新たな保険者等からデータ登録がなされている場合には、オンライン資格確認等システムのレセプト振替機能を活用して、医療機関等へ明細書を返戻することなく、当該新たな保険者等に対して医療費請求を自動的に振り替えることを基本としています。
※例)
・停電などの天災
・顔認証付きカードリーダー等の機器不良やネットワークの不具合
・患者のマイナンバーカードのチップが破損
・資格確認をした結果、「資格無効」「資格情報なし」等が表示された
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※被保険者資格申立書は、こちらから印刷のうえご使用ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001120095.pdf
※レセプト請求方法について詳細を知りたい方は、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」(保発0710第1号)または「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合における診療報酬等の請求の取扱いについて」(事務連絡令和5年7月19日)をご覧ください。
出典 医療機関向け総合ポータルサイト「〇マイナ保険証での受付が出来ない場合の資格確認方法〇」
いずれにしても、各地方厚生局や、医療機関向け総合ポータルサイト(オンライン資格確認等コールセンター 0800-080-4583)に確認しながら、対応を考えることになります。